猫の日に一言

 先日の2月22日は、『猫の日』でした。それで思い出されることを2、3述べておきたいと思います。私は、生身の猫を飼ったことがありません。よって、想像上の『猫』の話をします。まず、頭に浮かぶのは、夏目漱石さんの『吾輩は猫である』です。小学校の図書館で初めて見つけた時は、前編後編の2冊に分かれていました。小学生が読みやすいように、現代仮名づかいで、いくつか挿絵も入っていました。私には、主人公の猫が水に落ちて溺れ死のうとしている絵が特に印象的でした。
 当時まだ小学生だった私は、テレビのドラマやアニメに夢中でした。小説はおろか、子供向けの漫画や絵本や物語などの本は、興味がなくて一冊も持っていませんでした。だから、小学校の図書館で『吾輩は猫である』を借りてはみたものの、ざっと言葉に目を通すだけで、ほとんど真面目に読んでいませんでした。猫が人間の言葉で語っているところは、テレビアニメの『もーれつア太郎』に登場していたニャロメと同じでした。
 ニャロメといえば、薄幸のイメージを背負った猫のイメージが強かったと思います。人間の言葉が話せる猫なので、少々プライドが高くて、人間の若い女性とつきあいたくて、優しくする傾向がありました。しかし、その若い女性の側は、いつでもニャロメを動物の猫としてしか見ていません。結局ふられてしまいます。ニャロメは猫なので『結婚』という言葉を、『キャッこん』としか発音できません。(ちなみに、キャット(cat)じゃありません。)「オレと、キャッこんしてくれニャ。」みたいに言うところに、哀愁が漂っていました。映画『男はつらいよ』のフーテンの寅さんみたいなところがあったのかもしれません。
 さて、最近では、こんな動画を見つけました。TOMOOさんの”Ginger 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】”というものです。以前このブログ記事に書いた、夜遅くにやっていた音楽情報番組で、2023年に注目されたJ‐POPSの曲が紹介されていましたが、その上位の曲としてTOMOOさんの”Super Ball”や”Grapefruit Moon”が紹介されていました。それで、私はYouTubeサイトを検索してみました。そして、この音楽動画に出会いました。
 この曲中には、”ginger cat”という言葉が出てきます。しかし、歌詞をたどっていくと、それが猫なのか人間なのかわからない。もしかしたら、猫なのか人間なのかはそれほど重要なことではないのかもしれない、と感じさせられます。
 という私自身は、夜行性で単独行動が多い、ある意味『猫人間』なので、そういう音楽表現に関心を引かれるのかもしれません。ただし、『猫』とは同類ゆえに、相容(あいい)れない、というところもあるようです。つまり、私自身のその気ままさゆえに、生身の猫を飼ったり、猫と同居した経験がないというわけです。