さる女性のチェッに思ったこと

 先日NHK総合テレビの『チコちゃんに叱られる』を観ていたら、「ささいなことで好きな気持ちが冷めるのはなぜ?」という問題の解答VTRの中で、ちょっと気になるシーンがありました。とは言っても、それは批判ではありません。一瞬唖然として、後で笑ってしまったという、ある意味でキャッチなシーンでした。
 若い男性が、洗面所で歯磨き粉のチューブのかわりに辛子のチューブを見つけて、若い女性とちょっと揉(も)めそうになるシーンがありました。それを、何事もなかったかのように円くおさめようとする男性。すると、その彼の見ていないところで、チェッと悔(くや)しそうに舌打ちをする女性。
 テレビでその一連のシーンを観ていた私は、何が何だかすぐには理解できませんでした。ちょっと考えてみて、これは男性に対する、女性の意地の悪いイタズラだな、と気がついて、つい私は嬉(うれ)しくなってしまいました。もしも、私が女性だったならば、一度はやってみたいイタズラです。本当はやってはいけない、つまり、禁断の(漢字で『悪戯』と書きますが)イタズラです。
 この女性のチェッという舌打ちには、たとえば「何年私とつきあっているのよ。いいかげん、本当のことに気づいたらどうなのよ?」みたいな、男性への冷めた気持ちが見てとれるから、面白いのです。確かに、一般的に男性は、女性の意地の悪さを容易には認めたがらない、言い換えれば、それに目をつぶりがちなものです。でも、女性の側からすると、それはイライラします。男性の見ていないところで、すなわち、かげでチェッと舌打ちする気持ちもよくわかります。
 ちなみに、ネット検索上のAI、つまり、ウィンドウズのCOPILOT(コ・パイロット、副操縦士)に「洗面所 からしチューブ いたずら」といきなり聞いてみたところ、たまたま『いたずら』について会話を続けることはできないと丁重な言葉で拒否されました。ネット検索AIのCOPILOTが「何でも聞いてください…」と問いかけてくるものですから、つい私はそのような質問をしてみたわけです。
 でも、人間のようには融通が利かないAIとしては、これは正しい反応だと思いました。周知のことですが、COPILOTは、GPT-4というAIを使用しています。そのAIの会話拒否に対して、私は人間としてチェッと舌打ちしました。このように、私のほうがずっと意地の悪い人間なのかもしれません。