自身のネット環境をアップグレードする

 私が、インターネットにつながる(つまり、インターネットにアクセスできる)ネットコンピュータの環境を自身で持つようになったのは、2010年3月頃だったと思います。もともと私は、通信系分野のことは知りませんし興味もありませんでした。ほとんどそっちの分野は専門外でした。だから、インターネット、イーサーネット、イントラネットについて、余り詳しくありませんでした。ただし、2010年頃から使い始めたネットパソコンについては、以下のようなことを知っていました。
 そのノートパソコンには、インテル社のAtomプロセッサーという、ノートパソコン向きの内部動作周波数1.6GHzの32ビットCPUが使用されていました。当時としては標準的なノートパソコンのシステム環境ではありましたが、それほど時代遅れの機種でもありませんでした。OSも、ウィンドウズXPからウィンドウズ8.1に手動でアップグレードして、あとはウィンドウズ10まで自動アップデートしていました。また、ハードディスクが壊れたのをきっかけにして、SSD(ソリッドステートドライブ)に切り替えました。すると、OSの立ち上げに30分かかっていたのが、5分で完了するようになりました。また、ノートパソコン上のキーボードやキーパッドが壊れてきたので、USB接続で別のキーボードやマウスを付けて代用していました。
 しかし、それでもここ1、2年のうちに、ある理由からネットにつながりにくくなっていました。そのノートパソコン本体の動きを観察していると、ディスクアクセスなどの内部処理が頻繁に起きていて、そのためにネットとのアクセスのタイミングが遅れて、ネットのフリーズやネットとの通信切断がしばしば起るようになってしまいました。なぜならば、OSの自動アップグレードによって、その更新に見合ったCPUチップのより高いスペックが要求されるようになったからです。そこで、ネットパソコン本体全体のグレードアップが必要となりました。地元の家電量販店をいくつか回って、ネットパソコンの内部処理の速いものを探しに行きました。
 そのための知識として学んだことは、次のようなものでした。まず、CPUプロセッサー内部動作周波数ですが、最近でもオーバークロックできるものもあるようです。しかし、あまり、オーバークロックに頼るとCPUチップ内部が熱で破壊されてしまいます。また、ネットでの使用は、やや長時間になりがちなのでそれに見合った耐久力が必要です。よって、その内部動作周波数が格段に速いことが即、パソコンシステム全体の処理速度に影響するかというと、そうとも言えないと思いました。次に、32ビットから64ビットへCPU並行処理ビット数を変える必要を考えました。これは、ハードウェアのみならず、ソフトウェアも全く変えなければならない大仕事ですが、ウィンドウズ11以降のOSのアップグレードを将来的に考えるならば、必須のことだと考えました。また、今の世の中的に見ても、32ビット対応のソフトウェアよりも、64ビット対応のソフトウェアのほうが当たり前に速く動くようになってきたため、これを機会に64ビットCPUチップのマシンに変えようと判断しました。
 また、それに合わせて、CPUのマルチコアということが条件として外せないことに気づきました。昔、マルチプロセッサーと呼んでいた技術に近いものです。同一チップ内に複数のCPU(コア)を持つものが、現在一般的になっていました。一つのプログラムを複数のCPU(コア)で分担処理するだけでなく、スレッド単位(昔の言い方では、タスク単位あるいはプロセス単位)で分担して同時処理することは、現代のネットOS社会では必須と言えましょう。つまり、昔風に言うと、バックグラウンドでは、ネットとのやりとりと、ディスクアクセスなどのOS的な内部処理をします。そして、フォアグラウンドでは、キーボードやマウスからの『入力』と動画やCG画像などの『出力』を合わせたユーザーインターフェイスが、高速なデータ処理と大容量なデータ処理を必要とします。すると、そのような状況下では、バックグランドで2つ、フォアグランドで2つの都合4つのCPUコアの同時進行が理想的であることがわかります。ソフトウェア的にも、最低でもそれら4つのスレッドが動作すると考えると、よりシンプルに各プログラムが動作して、かつ処理効率もまた良くなると思いました。よって、新しく購入するネットパソコンには、そのようなマルチコアでマルチスレッド対応の条件は外せないと思いました。
 以上のような考え方から、新しいネットパソコンを選んで買いました。しかし、それだけに終わらなかったことが、今回のアップグレードの難しい点でした。ウィンドウズ11の動作する最新マシンに必須なのが、ネット通信環境のアップグレードだったのです。これまでは、FOMAのL-05Aというデータ通信端末を使っていましたが、それが3G対応だったために、新しいパソコンシステムでは使えないことがわかりました。そこで、5G・4G対応のルーターを買って、新システムとWiーFi(無線LAN)接続しました。これによって、これまで使っていた通信契約は解約することになりました。3G対応のメールサイト(mopera.net)は、全く使えなくなります。
 アプリケーションソフト(あるいは、アプリソフト)的には、メールアドレスに関係しているものを全て更新しました。これまでのメールアドレスでメールが送られてきたところからは、メールが送られてこないようにストップする必要がありました。あるいは、新しいマシンで新しいメールサイトを見つけて、新しいメールアドレスを登録しました。それから、これまで私が利用していた、ログインを必要とするサイトのメールアドレスを、全て新しいメールアドレスに書き直しました。結局、以上のことをするのにそれなりの時間と手間がかかりました。
 しかし、これまで利用していた通信システムプランの解約を最後に終えると、私のネット環境は以前よりも格段に使いやすくなりました。特に、ノートパソコンの内部処理がほとんど瞬時に処理されるのを確認して、そう感じられました。それは、私の見立てが間違っていなかったことを証明するものでした。そのような作業を自らの手で進めていくうちに、「パソコンのネット環境だけは、世の中の流れに合わせてアップグレードしていかなくてはいけない。」ということに私は改めて気づかされることとなりました。