ACアダプターを忘れてくる

 年末年始ということで、私も東京の実家へ帰省したのですが、忘れ物をしてしまいました。インターネットにつながるノートパソコン本体は忘れずに持ってきたのですが、その本体に電源を供給するための専用ACアダプターを持ってくるのをうっかり忘れてしまいました。
 昨年の末まで、寒さと雪が心配で、ビニールハウスなどの農業設備の後始末が増えて、東京に帰省するぎりぎりまでその作業をしていました。それで、仮に帰るのが遅れてしまうと、新幹線などの交通手段が雪に阻まれてしまう可能性があって、心配でした。帰る当日(12月28日)は、未明からの湿った雪が午前中いっぱいまで降っていて、既に10センチほどの積雪になっていました。最寄りの駅(上田駅)へ行くための地元のバスは、コスト削減のため、夕方には早くもその日の最終が来てしまいます。
 まず、そのバスをつかまえて乗らなければ、東京へ帰るのが遅れてしまいます。今度それで遅れてしまうと、次の日から天気がさらに悪くなって、積雪が増えるような予報が出ていました。そこで、今のうちに何としてでも帰らなければいけないと思いました。そのためには、雪が日中凍結して滑りやすくなっている道や、びしょびしょになってぬかるんでいる道を徒歩で行かなければなりませんでした。そして、バスの通っている道に出なければなりませんでした。
 それにはどうしても時間がかかってしまうために、少しだけ急いで、身支度をしたり、部屋の戸締りや、ガスや電気を切っていることの確認に追われていました。その途中で、ノートパソコン本体や通信端末機はカバンに入れたものの、その専用ACアダプターをカバンに入れていなかったことに気付いていませんでした。最寄りの駅から新幹線に乗って初めて、持ってきたカバンの中をチェックする余裕ができました。やっとその時になって、それを忘れてきたことに気付きました。しかし、その時点で、もと来た道を引き返すことは不可能になっていました。お金と時間がムダになってしまうのは明らかだったのです。
 東京に着いてから、秋葉原電気街へ行って、代わりのAC電源アダプターがないかと探したのですが、うまく行きませんでした。電源とパソコンをつなぐそのパーツは、100Vの交流(AC)電源を直流(DC)に変換する働きがありますが、定格というものがあります。その定格が合っていないと、つまり、その電気機器や電子部品に合った電圧や電流の大きさでないと、パソコンの側が動作しなかったり、最悪の場合は破壊してしまう恐れがありました。そのノートパソコンは、通常19V(ボルト)の定格電圧と2.63A(アンペア)の定格電流で動作していることが、パソコン本体に貼られたシールに明示されていました。しかし、秋葉原で見つけた市販の汎用ACアダプターには、19Vの定格電圧のものはあったものの、その定格電流が4か5アンペアでした。それでは、電流が流れすぎてしまいます。ひょっとしたら、パソコンの電子部品が壊れてしまうかもしれません。それは私の下手な憶測だったかもしれませんが、念のため大事をとって、代わりのACアダプターを買うのを断念しました。
 それから2、3日後に、インターネットを使う別の方法を考えました。せっかく東京にいるのだから、インターネットを使う必要ができたら、ネットカフェに行こう、という方法です。むやみに不必要にネットカフェを使わなければ、この方法は有効だと思いました。
 かくして、この年末年始は、なるべくインターネットを使わない生活になりました。かえって、それも良いのかもしれません。せっかく東京の自宅に帰ったのだから、インターネットに費やす時間を別の目的に振り分けるのも悪くないかもしれません。インターネットを直接使わなくても、いろいろ工夫していけば、インターネットに依存しないで生活できると思いました。そのことに、今さらながら気付いたというわけです。