クリスマス的な奇跡について

 最近クリスマスが近づくと妙に疑問になることがあります。なぜクリスマスだけ特別な日でなければならないのかと。と言いますのは、数年前に、私に奇跡らしきことが起ったからです。とは言っても、私は『人』に恵まれておらず、一人で生活する(つまり、孤独な)ことが多いのです。その代わりに『物』には恵まれているようで、それほどお金がなくても、身の回りにセンスの良い物が集まってくるようなのです。
 もっと具体的に申しますと、数年前、私のノートパソコンの一つがあちこち故障し始めました。それがいわゆるネットパソコンだったので、いろいろ不便になりました。そこで、私は予備のネットパソコンを探す目的で、長野県の千曲市から佐久市までの間の家電ショップを幾つもまわってみました。しかし、私の気に入るパソコンのマシンが見つかりませんでした。そんな時に、ふと、長野県のリサイクルショップ『スマイル・サンタ』のお店に立ち寄ってみました。すると、SONY製のVAIOの中古パソコンが、消費税込みで3万円弱で売られていたのです。
 それは、2011年製で、ウィンドウズ7のOSで動いていました。ちょうど折りしも、MS社のウィンドウズ7のネット・サポート期限があと半年と迫っていたので、誰かが手放したものと思われました。それで、リサイクルショップ『スマイル・サンタ』の店頭に並んでいたものを、私はたまたま見つけることができたというわけです。
 かつて私は、SONYのVAIOの新品が家電ショップでオープン価格で売られているのを見て、「欲しいな。」と思ったことがありました。しかし、その頃は、私にとっては『高嶺の花(実は、高値の花?)』でした。だから、私の一生涯、手にすることがなかろうと思われていたそのパソコンが、中古でも(おそらく新品の10分の1以下の価格で)手に入るとわかった瞬間に、私は『ネットパソコン探し』をその場であっさり放棄してしまいました。そして、そのVAIOの中古マシンにお金を費やすことを即断しました。つまり、これが私自身の申すところの『スマイル・サンタにおける奇跡』であったわけです。すなわち、このことを、クリスマスっぽい話題として、今回皆様に紹介してみたというわけです。
 それでは、故障続きのネット用ノートパソコンはその後どうしたのかと申しますと、何とか自力で修理して使えるようにしてしまいました。壊れたキーボードの代わりに、外付けのキーボードをUSB接続しました。また、部分的に壊れた内蔵ハードディスクを、SSD(ソリッドステートデバイス)にとり換えました。さらに、ディスプレイが真っ暗になる故障は、ノートパソコン本体を開けて、小さな数本のディスプレイ端子がマザーボード(基盤)のソケットから抜けかかっているの見つけました。それで、(精密機器を扱う細かい作業でしたが)それをさし直したら直りました。したがって、そのおかげで、そのネットパソコンによって、現在でも更新される私のブログ記事をこのように皆様に見てもらえているというわけなのです。(ちなみに、このブログ記事の大半は、ウィンドウズ7の簡易テキストエディタ『メモ帳』を使って、中古のVAIOで書かれています。)
 一方、中古VAIOのほうはどうなったかと申しますと、マルチメディア・パソコンとして活用することに決めました。そのマシンには、ネット接続に関するソフトが入っていましたが、すべてスイッチOFFにして、使えないようにしてあります。たとえネット接続しても、悪徳ハッカーの餌食にされるだけですから、ネットに繋がないウィンドウズ・マシンとして利用するしかないわけです。しかし、私には、ネットに繋がないパソコンをマルチメディア専用に使うノウハウがあるので、いろいろ使っています。写真などの画像を見たり、音楽を聴いたり、動画を視聴したり、DVDを鑑賞したり、とネットに接続することなしに、迅速かつ安全に楽しめることが最大の得(う)りだと申しましょう。
 例えば、写真画像の閲覧が、既存のソフトで気に入らない場合は、Jスクリプトなんかで自作したりもしています。すると、縦長の写真画像を90度回転させて、物理的に横長のディスプレイ画面いっぱいに表示するという発想も出てくるというわけです。もちろん、実寸では画面に収まらない巨大画像を、好き勝手に縮小してみせたり、その一部分を実寸に拡大させたり、スライドさせたりと、わけのわからない操作をJスクリプトを使って自動計算的にやっています。写真画像を見るというテーマは、コンピュータのプログラミング技術を磨くという意味でも、面白い課題・題材の一つだと言えましょう。
 また、レタッチソフトを使って、いわゆるフェイク画像を作るということにも、最近まで私は夢中になっていました。ただし、これが普通ではありません。レタッチソフトなどで普通に画像を加工をするのは、非可逆的でつまらないと思いました。そこで、レイヤーをいくつも作れる、昔のフォトショップPhotoShop)みたいなソフトを探してきて、私はそれを使って考えてみました。それは、どんなふうなのかと申しますと、オリジナルの画像の上に、変更したいイメージを部分的に分解して複数のレイヤーに載せていきます。つまり、油絵で絵の具を何度も重ね塗りするように、あるいは、コラージュのようにイメージを何枚も重ねて貼り付けていきます。すると、新たにできたフェイク画像から、全てのレイヤーを取り除くと、オリジナルの画像に戻れるというわけです。すなわち、そうして作られたフェイク画像とオリジナル画像との間には、可逆的な関係があると言えましょう。そして、2つの画像の間にあるものは、複数のレイヤーであり、それはあたかもイメージデータのプログラミング言語のようなものに、私には思えました。つまり、私は、レタッチソフトのレイヤー機能を使って、個別のイメージを個別にプログラミングできることに気がついたのです。(こうした、一見わけのわからない発想を考えつくのは楽しいことです。そういう意味で、パソコンやスマホなどの電子機器は、使い方の工夫で、いくらでも面白くなると言えましょう。)
 私のVAIOに関する自慢話は、ここまでにして、もっと身近で現実的な話をいたしましょう。私は、ほぼ毎日テレビの天気予報のコーナーを観ていて、今年の昼夜の時間に興味を持ちました。今月の4日から10日までが(「つるべ落としの秋の夜」の延長で)最も日没の時刻が早い時期だったそうです。そして、だいたい冬至までは、日出の時刻が遅くなって、夜の時間が最も長くなります。単純に考えて、地球の北半球が冷えていったわけです。しかし、今月22日の冬至を過ぎると、少しずつ太陽の出ている時間が長くなって、少しずつ冬から春に向かっていきます。すなわち、冬至を中心にしたこの時期が、本当に寒い冬の始まりであり、北半球に住む人々にとっての正念場でもあるわけです。
 そのように考えてみると、そもそも、クリスマスやお正月は「この寒い冬をのりきって(あるいは、克服して)、生きていきましょう。」という激励のために祝う行事なのです。「私ゃ、恋人がいなくて淋しい。」などと心を痛める時期ではないということなのです。このしばらく寒い冬の期間に心身を凍えさせては、本末転倒と言えましょう。
 そうは言っても、テレビなどを観ていると、淋しさや孤独に向き合わされることが最近私にもあるようです。そんな時は、思い切ってテレビの電源を切って、我に返ってみるのも必要なのかもしれません。あるいは、「他人の芝生がよく見えても、それを信じてはいけない。よくよく見れば、他人の芝生はどれも硬いし、自分に都合よくはできていない。そもそも、自他を比べることが間違っている。だから、人生に無理じいをしてはいけないし、何を大事にしたらいいのか、何に責任を持って、どう判断したらいいのか、自分の胸によく聞いてみよう。」と、哲学的に私は思うのです。