ヒトーヒト感染は誤解されている

 最近の東京都の感染経路の調査をテレビで観ました。それで、家庭内感染が半数近くを占めていると、私は知りました。このことに多くの人々は、驚愕しているかもしれません。なぜならば、これまで「最近会っていない人にはなるべく会わないで。」というアナウンスをメディアを通じて多くの人たちが耳にしていたからです。だから、家族や同居人のように、毎日顔を突き合わせている者同士は、感染防止対策をゆるめても大丈夫だ、という暗黙の了解ができしまっているのだと思います。
 つまり、多くの人たちの頭の中では、ヒトーヒト感染とは、他人ー他人感染のことであり、だから、街中の人流や、他地域や他県外の移動にリスクがあると考えるわけです。しかし、一方、家族や同居人に対しては、安全だと思って、ソーシャル・ディスタンスや室内換気を怠ったり、互いにマスクを着用せずに生活していることが多いと言えましょう。
 そんなことを申す私を、感情のない冷たい人間だ、と皆様の多くは思うかもしれません。しかし、私にそんなつもりはありません。相手が他人であろうと家族であろうと、ヒトはヒトです。そして、相手のヒトを安全とみようと、リスクとみようと、ヒトーヒト感染を防止する上では、その程度や有無に大差はありません。
 結局何を言いたいのかと申しますと、科学的な知識や情報には、恣意的な解釈の入るスキなど無いということです。各人の信念や真実がどんなに違っていても、科学的な知識や情報は、少なくともそれよりも『確か』らしい。どちらを信じるかは各人の自由ですが、少なくとも私は『確か』らしいほうに関心や興味を引かれます。