コロナ禍で街の人出が減らない心理的理由

 今回は、より多くの大人の人たちに、他人の気持ちを知っていただきたいために書いてみたいと思います。なぜ、このコロナ禍で、街の人の流れが止まらないのかと、毎日テレビを観ながら疑問に感じていました。いろんな人がそれに懸念を示せば示すほど、人流は勢いを増すばかりで止まりません。生活のため、仕事のためという人々も少なくないとは思いますが、それを判断をするのは結局各人の心です。何でそうなるのか、疑問は増すばかり、だと考える人も多いと思います。

 また、聖火リレーのダイジェストをテレビで観ていても、日々観衆が増えているように見えます。図らずも野次馬になってしまった人々に話を聞いてみると、周りにつられて勝手に体がつられていってしまうようなことをおっしゃっております。大衆心理に操られたということだと思いますが、何か変な気がしました。これまでの私たちは、そんなことで安全安心を得ていたのかな、と思うと、ちょっと恥ずかしい気がしました。

 それはさておき、先日私はEテレで『Q~こどものための哲学~』という番組を観ました。「なんで勉強しなきゃいけないの?」という回を観ました。子供のQくんが、ぬいぐるみのチッチと会話をして、日常の物事について考えを進めて深めていくという番組です。哲学的あるいは学問的な思索の仕方が全く経験のない小学生にもわかりやすく理解できるように、お話が作られています。ぬいぐるみのチッチは、Qくんとの会話中に矛盾などが生じてイライラしますが、Qくんにお腹をなでられて気持ちよくなって、イライラが収まります。私のような大人が観ても、肩肘(かたひじ)の張らないお話です。

 劇中で、Qくんが、勉強がイヤになっちゃうのは、遊びたいのに勉強ばっかりやらされているからだ、というようなことを言っていました。大人は、勝手に決めごとをして、子供にいじわるをしたいのか、いつも「勉強しろ。」とばかり言う。そのことにQくんは、納得がいかなくて、勉強することがイヤになっていた、ということなのです。私は、そこでピンと来ました。親などの大人から、余りにしばしば強制や要請されると、その反対のことをしたくなる、すなわちリバウンドしたくなるものです。それが、人間の心理(心のメカニズム)なのです。

 「それじゃあ、どうすればいいのだ。」と、コメンテーターや専門家の方々から怒りと危機感をあらわにされるかもしれません。しかし、もともとそのことに正解はありません。もしも簡単に答えが出るならば、科学や哲学などを含めたこの世のあらゆる学問は不要となることでしょう。答えはいろいろかもしれませんが、「なぜだ?」「どうしてだ?」と思って、その時々で安易に感情に流されずに立ち止まって、人間は考えていかないと損をするということです。いかなる真実を知るにも、いろんな知識が必要なのです。