若い人たちへの補足説明

 最近の若者は、恋愛レスで、直(ちょく)に結婚を求める傾向にある、という話を、最近私は何処からか聞きました。そうしたお子さんを持つ親御さんがちょっと心配になっている、という話も最近聞いたことがあります。「ちゃんと恋愛しておいたほうがいいよ。」と言う親御さんに、「リアルな相手には、裏切られるから、現実の恋愛はいやだ。」というお子さんの答えが返ってくるのだそうです。
 私は、年頃の娘や息子もいませんし、その以前に嫁もいませんから、こうしたことには何も関係がないのかもしれません。すなわち、こうしたことに何の経験もないのに、親御さんの思いの補足説明なんてできるわけないと、思われるかもしれません。
 それでは、こう考えてはいかがでしょうか。私が、その親御さんたちとほぼ同世代の人間だとして、どんな思いでその子供たちに物申すかを、すなわち、その親御さんたちの代弁者になったつもりでどんなふうに補足説明するのかを、知ってみてはどうかと思います。おそらく、親御さんがその子供に、現実の恋愛をすすめるのは、決して軽薄な気分によるものではないと思うのです。おそらく私と同世代の人間は、結婚に結びつく成果主義として、その娘や息子に、恋愛体験を強制したりはしていないと思います。ましてや、恋愛を無理やりすすめて、子供たちに取り返しのきかない過(あやま)ちを経験させようと考えてもいないと思います。
 ところで、こんなふうに、私は、恋愛だの結婚だのと、私自身のブログ記事で書いてはいるものの、普段は全く普通の人間として生活しています。ブログ記事上で、恋愛だの結婚だの、妄想とか空想とかしてはいるものの、こと長野県の作業場に戻ると、私自身の生活のことに追われてしまうのです。今日なんかも、「去年収穫したおコメを農産物直売所に出荷しなきゃいけない。」と気づいて、「まだ、何にも準備してないや。」「すぐ始めなきゃ。」と急に慌てて準備を始めている次第です。大人だから、生活に追われてしまうのは仕方のないことなのです。そのように生活第一(あるいは、生活最優先)で、日々の生活に追われてしまうと、恋だの愛だの結婚だのと、かまっているお金も時間も無いのが大人の現実なのです。
 ここまで読んでもらうと、何となくわかってもらえると思います。つまり、あの親御さんの言葉は、「若いうちに沢山勉強しておいたほうがいいよ。」とか「若いうちに体を鍛えておいたほうがいいよ。」とかいう言葉と同じレベルのことなのです。確かに、大人になっても勉強をしたり体を鍛えたりすることはできるかもしれませんが、若いうちにやったそれらと全く同じことができるわけではありません。
 恋愛についても、若いうちに経験するような成功あるいは失敗が、結婚した後でも同じようにできるとはかぎりません。結婚後の恋愛体験は、かえって、誰かの迷惑になってしまうかもしれません。それが、テレビドラマのフィクションだったならば、ただの笑い話で済まされるかもしれません。けれども、それが現実の生活上のことであったならば、まさにその人間関係は泥沼化してしまうことでしょう。
 せっかく結婚したのに、離婚して、シングルマザーやシングルファザーになってしまう人たちのことを知るたびに、私は心が痛みます。また、子供が二十歳になるのを待って、熟年離婚する夫婦についても同様です。でも、当事者たちにとっては、生活に追われて、生活に負けてしまった結果だから仕方がなかったのかもしれません。
 そういうことも考えてみると、若い人たちの恋愛レスの考えは、ちょっと勇み足のような気がします。もちろん、勉強やスポーツなどに追われて、恋愛をする相手をさがすヒマも無いというのなら、恋愛レスも仕方ないとは思います。若いうちに経験しておいたほうがいいことが、現代では多すぎるのかもしれません。