感染防止研修ツアーへようこそ!

 皆様、当研修ツアーに参加いただき、誠にありがとうございます。今回は、フィクション(虚構)の力を借りて、新型コロナウィルス感染症予防対策における一つの解決モデルを提示いたしたく思います。現在の最先端の感染症予防対策は、『検査』と『隔離』が大原則であることは、皆様、重々ご承知のことと思われます。規模の違いや、細かな点を除けば、日本もニューヨークもやっていることは皆、同じです。PCR検査で陽性が確認された人は、無症状でも即刻、指定の宿泊施設へ隔離するのが、我々の社会のルールです。そうやって感染拡大を防ぎながら、経済を回していくことが至上命令であることをご存知でしょうか。今どき知らないでは済まされませんぞ。政府や地方自治体や保健所などをあれこれ批判している場合ではなさそうです。
 しかし、それでも、何かが足りないと感じている皆様も多いのではないかと思います。「経済は経世済民のことだから、みんなを不安や不幸や貧困から救ってくれないのはウソだ。」と思っているアナタは、時代遅れかもしれません。つまり、今や経済の原理は、人間の心を踏みにじるものなのです。と言うか、アナタの心の一喜一憂に関係なく、経済は動いていかなくてはなりません。強制するつもりはありませんが、生計を成り立たせるためには、アナタがそんな経済の動きについてゆくしかありません。生きていたかったら、そうしなさい。(結局、命令と強制をしてしまいました。)
 それでも、やっぱり不安な皆様のために、とっておきの机上の(と言うか、ネット上の)架空研修ツアーを企画いたしました。現在の最先端の感染症予防対策が、検査と隔離を順守するものであることを、皆様に承認していただいた上で、現状では、うまくいっていないことは周知のことだと思います。そう、この最先端の対策では、『教育』と『研修』および『啓蒙(けいもう)』が抜け落ちております。だから、どうしても感染拡大が止まりません。いつまでたっても新規感染者は減りません。どんなに検査をしても感染者が見つからなくなる、というドラマチックな展開は、ひょっとしたら永遠に訪れないかもしれません。つまり、それは、空虚な妄想だったのかもしれません。(最近私は、韓流ドラマを観るのをやめました。)
 それでは、当ツアーをご案内いたします。
1.ツアー参加者全員が、感染症予防対策の講義を受けます。
2.ツアー参加者全員が、PCR検査と個室隔離を体験します。
3.2の検査で陽性が確認された人は、感染症予防コーディネーターの個別アドバイスを受けます。
 概要は、以上のとおりです。ツアー参加者全員が、地方の保養所(ホテルや旅館)へ行き、その建物の会議場(大宴会場)に集まります。そこで、感染症の専門家やコーディネーターが1~2時間の感染症対策の講義をします。その後に、すぐPCR検査をツアー参加者全員に行います。そして、各人には個室が与えられます。その窓からは、海や山や川などの美しい自然が眺(なが)められます。待つこと数時間後、PCR検査の結果が通知されます。全員陽性ということにして、何日間か個室の隔離生活を体験します。トイレやお風呂は個室にあるものを使います。一日三度の食事は各個室に届けられ、定期的な検温と血中酸素濃度の測定とノート記帳を経験します。本当に陽性が確認された人は、例え無症状であっても、感染症予防コーディネーターに個別でアドバイスを受けます。テレワークでマンツーマンで相談ができて、アドバイスを受けながら、感染症予防対策を学び直します。「(自分なりに)対策をとったのに、感染してしまった。」という人には、その対策を改善したり、かつての対策の不備な点を気づかしてもらえるかもしれません。そうしたことが、期待されます。
 そして、晴れて保養所の個室から解放される折には、『陽性体験証明書』がツアー参加者各人に手渡されます。実は、これが、社会の価値観を大転換すると、私は考えています。PCR検査の陽性経験者は、もはや社会的差別の対象ではなくなります。また、余計な給付金も必要なくなります。
 さらば、陰性証明。『検査と隔離』研修の修羅場を経験した者こそ、企業が求める人材として引っ張りだこになるかもしれません。いつまでも検査陰性に縛られて、現場で業績を残せない弱腰の人間。それよりも、感染が身近に起っても、適切に感染症対策ができる強気の人間のほうが、経済を回せる可能性があると思います。(それほど、今回の感染症への私たちの不安と恐怖は、私たちの経済をダメにしている、ということです。)いずれ近い将来に、そのような社会や経済の大転換が起きて、感染症対策を自ら進んでできる人にこそ、現場の陣頭指揮を任せられやすくなると思います。つまり、そういう人にこそ、手厚い待遇が期待できるかもしれません。(この話の全ては、現時点では、あくまでもフィクションです。そのことをお忘れなく。)