様々な不安や疑念に打ち克つためには

 日々、私が自戒していることは、「数値の変化に一喜一憂しない。」ということです。たとえば、『毎日発表される新規感染者数』なんかもそうです。そんな折りに、ちょうど良い例がありました。昨日の長野県の新規感染者数が、過去最多となりました。普通の見方をすれば、その数が収まりつつある他の地域もあるなかで、「何をやっているんだ。」と思って怒る県民もいるかもしれません。しかし、私は、地方局のニュースで「クラスター(集団感染)が多発している。」という情報を知って、その増加の原因がわかりました。長野県では、クラスター(集団感染)の発生が増える時に、新規感染者数が著しく増えることが、これまでも何度かありました。市中感染で混乱しているわけではなく、クラスター(集団感染)が追えているのだな、と思いました。それで安心しているわけではありませんが、過度に心配をする必要もないのかな、と思いました。
 この時期、陽性率が高い地域もあって、心配している人も多いと思います。PCR検査をしたほとんどの人に陽性が確認されるために、不安になって、信じられないと感じている人が少なくないと思います。しかし、私は、それに対してこう考えます。PCR検査を本当に必要としている人、すなわち、医療から見逃されて重篤化されてしまう人にも、十分検査が行き届いているから、陽性者数/被検査者数=陽性率が高くなっているわけです。決して、ウィルスの感染力が激増したり、人々の感染症対策に緩みが生じていることが、その主な原因ではないと思います。後者のそれらが原因であると思うことによって、互いに人間不信に陥ることのデメリットのほうが、ことのほか大きいと思います。
 日々の数値に一喜一憂せずに、冷静に対処していけば、個々の小さいことはそれほど困難な事態ではないことがわかります。それを踏まえて、昨今の、ワクチン追加接種の問題を考えてみましょう。なぜ、日本国では、3回目のワクチンの追加接種が進んでいないと言われているのか、という問題を考えます。制度や段取りの上で、上手く進んでいないとか、接種を受ける側の考えに問題があるとか、いろいろ指摘はされています。その中でも、私は、これまでの2回のワクチン接種を受けた側の、ある意識に注目して考えてみました。
 mRNAワクチンは、接種した人々の90%を超える人々に効果があると当初から言われていました。ところが、最近の情報では、時間の経過と共に抗体量が下がって、さらなるワクチンを接種すると格段に抗体量が上がって、だから、ワクチン追加接種が効果的なのだ、とにかく早めにワクチンの接種を済ませて欲しい、というふうにメッセージが伝えられていました。
 これに対して、2回のワクチン接種を受けた側は、たとえば、このように思ったはずです。「ワクチンを接種したのに、抗体がそんなに短期間に減ってしまうなんて何ごとだ。それじゃあ、結局、ワクチン接種をしなかった人とそれほど変わらないじゃないか。私は『裸の王様』じゃないし、実験台の『モルモット』でもない。もっと完全なワクチンなり薬なりを作ってから、アナウンスしてくれないと困るよ。」などと愚痴を漏らす人も少なくなかったはずです。ワクチンに対する不安や疑念をふり払えない、それに明快に答えてもらえないことへの『もどかしさ』が感じられる意見だと思います。
 そういう思考回路の人ほど、「ロックダウンだろうと、緊急事態宣言だろうと構わないから、より完全な強い権力によって、多くの人を巻き添えにして大きな犠牲を払ってでもいいから、コロナの問題を即刻解決して欲しい。そして、一日も早く日常を取り戻したい。」というふうに考えがちです。その焦りと完全主義を望む傾向は、社会的な不安や疑念と共に、世論調査にしばしば事実として表れています。
 しかしながら、この世の中に、学校の試験じゃあるまいし、完全完璧な正解などありません。なぜならば、たとえ願いは一つであっても、その願いを実現する道筋は人の数ほどあるからです。ですから、上に述べたワクチン接種に関する言い分も、ある意味では、もっともらしいのです。けれども、別のある意味では、もっともらしくないと言えます。その件に関しては、是非とも、私の前回のブログ記事『人の免疫機能について学ぶ』を読んでいただきたいと思います。
 今回のmRNAワクチンの追加接種は、現在のオミクロン株の感染拡大以降の先を見据えても有効だと、私は考えております。だから、本当のことを申しますと、私の場合は、急ぐ必要はないのです。自治体が正しく判断して、接種券を送ってきてくれたならば、何の迷いもなく、自ら進んでワクチン追加接種を受けるのが、私の考えです。つまり、感情志向よりも科学志向のほうが強いのが、私の考えと言えましょう。