『涙くんさよなら』の英語盤を日本語カバーする

 『涙くんさよなら』は、浜口庫之助さんが作詞作曲された昔の日本のポップスとして有名な曲です。私は、子供の頃、父親のレコード・ボックスを無断で開けて、ジョニー・ティロットソンさんという目のギョロとした外国人男性の顔が写真になっているそのレコードのジャケットを見たことがありました。そして、私の父に無断でそのレコードを聴いていました。
 舌足らずの日本語の発音で『涙くんさよなら』が歌われていました。さらに、同じメロディーと伴奏で英語の曲として歌われていました。両方とも、ジョニー・ティロットソンさんという外国人の歌唱だったので、英語で歌われるのは当然だったのですが、その頃の幼い私は、英語を全く知りませんでした。よって、何を彼が歌っていたのか、つい最近まで知らなかったわけです。
 ネットでその英語盤の歌詞を調べたところ、浜口庫之助さんの作った歌詞とは、だいぶ違うことがわかりました。ジョニー・ティロットソンさん自身が、イングリッシュ・カバー・バージョンの『涙くんさよなら』を考えたのかもしれませんが、そうではなかったのかもしれません。そこのところは定かではありませんが、いずれにしても、その曲の英語タイトルは”Goodbye Mr.Tears”と言います。
 『涙くんさよなら』の日本語の歌詞に昔からなじみがある私としては、そのイングリッシュ・バージョンを是非とも、日本語カバーしてみたくなりました。よって、今回の日本語カバーは、浜口庫之助さんの作った歌詞とは違う、別バージョンのものとなりました。そして、「涙くん」あるいは”Mr.Tears”といった擬人化した表現を訳詞から取り外しました。涙や悲しみを擬人化して「涙くん」と表現しているのは、浜口庫之助さんのオリジナリティーであると考えられるからです。



    『さよなら、涙』


雨だれに陽(ひ)が射して
別れ告げる時
さよなら 涙 …


泣いてばかり 悲しいほど
かなわぬ夢を抱いたけど
傷は きっと癒(い)えてゆく
夢破(ゆめやぶ)れたことさえも


手に手 取って
歩こうよ
幸せに たどり着いてるかも
愛は きっと膨(ふく)らんで
ずっと続いてゆくのだろう


雨だれに陽が射して
別れ告げる時
さよなら 涙 …



 ジョニー・ティロットソンさんのために作られた英語版の歌詞を、かなり意訳してしまいました。そこの歌詞のフレーズは内容が違うんじゃないかなどと、後になって誰かからお叱りを受けてしまうかもしれません。けれども、日本語カバー曲の歌詞にしたということで、そこのところを大目に見てくれるといいと思いました。
 ジョニー・ティロットソンさんの英語版の歌詞は、浜口庫之助さんのオリジナル歌詞と比べてみると、大筋では同じ内容ですが、細かい点では違いが見られます。大同小異と言ってもいいのかもしれません。ただし、「涙くん」という擬人化表現に対して、英語版では”Mr.Tears”と表現しています。が、オリジナルの日本語歌詞を気にかけてのことか、多少苦しまぎれな感じがします。
 もしも私が、オリジナルの日本語歌詞を英訳するならば、例えば擬人化表現を少々ゆるめて”Goodbye My Tears”を「さようなら涙くん」の訳にすると思います。よって、次回は、浜口庫之助さん作詞のオリジナル歌詞を英訳して、私なりの英語カバー・バージョンに挑戦してみたいと思っています。