タクミ電機社歌を英語で唄ってみる

 今回はまるで動画サイトに投稿された動画に付けられたようなタイトルになってしまいました。『タクミ電機』というのは、NHK総合テレビのドラマ『メイド・イン・ジャパン』に登場する架空の会社です。そのドラマのエンディングに歌われる曲が、その架空の会社の社歌だそうです。その歌のタイトルは『希望』だそうです。この歌の一番が歌われて、この番組が終わる直前に、すべてフィクションであるというテロップがテレビの画面の隅に現れます。私はそれを見て、「な〜んだ、ウソなのか。」と思いました。でも、「よくできているドラマだなあ。」と感心しながら、そのドラマの次回を期待して見てしまいました。
 番組のエンディングのその歌は、太田裕美さんが歌われていたそうです。太田裕美さんと言えば、私は十代の頃に『木綿のハンカチーフ』を聴いたことがありました。東京生まれで東京育ちの私が「都会の絵の具にぃ〜、染まらないで帰って」と唄うのはおかしかったのですが、一生懸命その歌詞を覚えた記憶があります。
 その『メイド・イン・ジャパン』というテレビドラマについては、三回しか番組がなかった割には、そのドラマの内容をよく知っている人が多かったようです。私の周囲にも、意外とよく知られていました。その辺のことについては、別の機会に述べる予定です。そのタクミ電機社歌『希望』に関しても、ネットなどで見ると、関心を持った人が少なくなかったようです。
 私がサラリーマンだった頃に勤めていた会社は、どれも中小企業もしくは零細企業だったので、社歌というものはありませんでした。映画『釣りバカ日誌』では、その主人公の勤めている会社の社歌が映画の冒頭で歌われる場面がありました。その社歌は、何番もあって長くて、普段会社で歌われているものとすると、一回それを歌うだけで社員がみんな疲れちゃうんじゃないかな、と思われました。それもやはりフィクションの一部だったのですから、そんな私の心配など意味がなかったことでしょう。
 日本人の社員が唄う社歌を、翻訳して英語で唄えるようにすることに、何のメリットがあるのか、と思われるかもしれません。良い問題意識だと思います。日本人にしてみれば、外国人の労働者に会社の地位や仕事を奪われる前触れではないかと不吉に感じるかもしれません。もしくは、会社が強制的にグローバル化に対応できる人材を育成しようとしているようだと、その無理やりさに不信感を抱く人もいるかもしれません。
 けれども、私の意図はそのようなものではありません。それが、あくまでも架空の会社の社歌であることが大事な点なのです。あくまでも、フィクションの上で、日本語で唄われる社歌が英語でも唄えたらカッコイイなあ、と考えたからです。その日本語の歌詞に込められた情感が、英語のわかる外国人にどれくらい伝わるのか、私は試してみたかったのです。それが日本人にしか理解されないものなのか、それとも、そうではないのかを知りたいと思いました。よくよく考えてみれば、『メイド・イン・ジャパン(日本製)』の製品が、日本人だけにその良さがわかればいいものであったならば、それを外国人は買ってくれなかったと思います。その製品の価値がみんなにわかってこそ、その製品が世界に広がるのだと思います。
 下手な理屈はここまでにして、その『希望』というタイトルの社歌を英語に翻訳したものをお見せしましょう。なお、今回は、英語が苦手な理工系技術者や労働者諸君のために、英語の発音をカタカナで擬似的に表記してみました。
 昔の日本の歌手は、英語の歌詞をカタカナで書いて覚えたそうです。私もそれを真似てみたのですが、思っていたよりも容易ではないことに気づかされました。英語音声学の知識を借りて言うと、長母音を表現する時にカタカナ表記の『ー』をどこに挿入するか、また、二重母音を表現する時などに「アイウエオ」以外に「ァィゥェォヮ」をどう追加するかで、カタカナ読みに従った唄い方が微妙に違ってきます。今回の私の実力では、カタカナ表記だけでは上手く英語での唄い方を表記できなかったかもしれません。その点を、前もってお詫びしておきます。



     Song for Takumi Corporartion "What we wish"


Let's go to a new frontier
レツゴーツァ ニュフロンティアー


We are excited happy
ウィーアー エクサイティド ハピーイー


The products are made by our teamwork
ザプロダクツァー メィードバィ アーヮ ティームーワー(ク)



We always have a power of the sun
ウィー オールウェズ ハーヴァ パーワァロヴザサン


which makes us happy throughout our life
フィッチ メィクスァス ハピーィイ スルーァゥトゥ アヮーラーィ(フ)



Let's sail to the frontier
レツセィルツザ フーロンティアー


to widen our views of the world
トゥワァィドゥン アヮヴュゾヴ ザワーゥドゥ


Let's kick off Takumi Corporation
レツキックオフ タークミー コーポレーイーショーン



 上のカタカナ表記で文末右端の()は、子音で終わっているので、声を軽く添える感じでもいい箇所を表しています。下から二行目の文末"the world"は、「ザワーゥドゥ」と表記しましたが、「ザワールド」と声を出してもかまいません。今回のカタカナ表記は、そのような程度のものとして見てください。英語での唄い方の一例と考えてもらえればいいと思います。
 今回の歌詞のタイトルは、『私たちが望むもの』=『希望』という感じにしておきました。単語の頭文字が"w"で偶然にも揃いました。
 "a new frontier"も"the frontier"も、同じような意味で「新天地」や「未開拓の分野」や「新分野」を表す言葉です。その言葉は「辺境」とか「米国開拓時代の開拓地と未開拓地との境界地域」をもともと意味します。そこへ踏み込んでゆくこと即ち開拓者精神によって、新しい物事や幸福、そして、世界を切り開いていく、というふうに表現してみました。
 歌詞の結びの一行で、タクミ電機の社名を唄いこませて、社歌らしくしてみました。その社名ですが、"Mitsubishi Electric"(三菱電機)のように"Electric"を付ける場合も考えられますが、今回はパナソニック東芝ソニーの社名英字表記の例にならって"Corporation"を付けてみました。
 また、今回はテレビのエンディングで歌われた太田裕美さんのバージョンに合わせて作りました。従って、歌詞は一番だけです。また、社歌らしく、ややゆっくりなリズムで、ゆったり歌えるものになっています。