"Sunshine On My Shoulders"の日本語カバーに挑戦!!

 今回は、あのジョン・デンバーさんの余りにも有名な『太陽を背に受けて』("Sunshine On My Shoulders")を日本語でカバーすることに挑戦しました。この曲もそうですが、彼の曲には、人間社会の目まぐるしく変化する、いかなる複雑な関係からも離れて、大自然の中で自らの精神を取り戻そうと、人間らしい落ち着いた心を取り戻そうというテーマがしばしば表現されました。日本人が今日までアメリカ合衆国(USA)からの文化として取り入れてきた多くのものと比べると、彼の音楽は異端で、ちょっと違和感を受けるものかもしれません。がしかし、私たちは彼のように、先進的で流動的なアメリ現代社会に背を向けて、地に足をつけた人生を目指すのも悪くないのかもしれません。きっと人間は人生に疲れ果てたら、そのような彼の音楽の世界に共感するものなのでしょう。
 この曲に関しても、多くの人たちが英語の原曲で聞いたり唄ったりしてきたと思います。原曲の歌詞もシンプルで、あえて日本語でカバーする必要もない、と多くの人が感じていることでしょう。それをあえて私が日本語でカバーをするのは、上に述べたことと関連して、私なりの些細な理由があったからです。原曲を聴いているとわかりますが、曲のリズムがゆったりとしています。日本のイメージで言えば、農耕馬なんかの、いわゆる『お馬』の背に揺られているようなゆっくりしたリズムです。唄い方も伴奏もゆっくりで、声を伸ばす所も無理がないので、日本語の歌詞で唄ってもそれほど違和感が無いのではないか、と思われました。そこで、早速私はその作業に取りかかりました。


   『陽射しが、まぶしくて』


**
  いま太陽が 射した時
  まぶしさが 目にしみる
  水の上で きらめいて
  喜びさえ わき上がる


幸せを 教えて
あげよう 今日という日で
幸せに 触れさせて
あげよう 好ましい唄で


(** くりかえし)


ほほえみを 誘って
あげよう 優しさで
幸せを 望んだら
おひさま 拝んでもいいさ


(** くりかえし)


そんな 喜びを いつだって…
そうさ、いつだって…


 まず、曲のタイトルについて言わせてもらいましょう。『太陽を背に受けて』というタイトルの日本語訳は、十分安定した表現であると思います。直訳っぽい翻訳だと「陽射しを両肩に浴びて」となりますが、当たらずとも遠からずの感じがします。太陽の光(sunshine)を浴びて元気になる(明るくなる)人の気持ちが、この曲では表現されていると私は思いました。ですから、「日光に元気付けられた私の心」というタイトルでも良いのですが、一応、詩的に「日光がまぶしくて」みたいな感じの曲のタイトルに表現してみました。
 次に、原曲の歌詞で気になっていたことを説明したいと思います。原曲のサビ以外の部分で、”If I [動詞の過去形], I'd(= I would) [動詞の原型]”という文型、すなわち仮定法過去が繰り返し使われていました。仮定法過去は、通常は、実現しなかった過去を振り返って「こうだったら良かったのになあ」とか「ああだったら良かったのになあ。」という後悔や悔恨を表します。しかし、この曲の場合は、自然の中で日光を浴びて、心が洗われた幸福感から、誰かにこんなこと、あんなことできたらいいなあ、という穏やかな願望を表現していると考えたほうがいいようです。実際にそんなことをしてはいないけれども、あれこれしてあげてみたいなあ、という優しい気持ちになったことをていねいに表現してみたかった、と私は解釈しました。ジョン・デンバーさんのライブでこの曲を聴いていた観客の側に立てば、そうした言葉の表現する優しさがよく伝わってきたはずです。自然の美しさと人間の優しさというのは、イメージ的にも相性が良かったのかもしれません。
 以上が、今回の作業で注目した簡単なポイントでした。が、その中でも一番大事なことは次のようなことだったと思います。自然の穏やかさや美しさに触れて、泣きたいほど幸せや喜びを感じている人の気持ちを、ジョン・デンバーさんは素直に唄って伝えていた、ということです。この日本語カバー曲で、そのことを改めて感じていただければいいと思います。そうしていただければ、英語の原曲への興味や関心もさらに増して、良いのではないかと思いました。