蜂(ハチ)に関する私の見方

 蜂(ハチ)に刺されるのは怖いものです。一般的にそう考えられています。私も同感です。ビニールハウスの中できゅうりを取っている時、特にそう感じます。でも、毎日ビニールハウスでハチと鉢合わせしているうちに、今までとは違った見方も生まれてきました。そうした新しい発見を今回のブログで書いてみようと思います。
 毎年6月から9月にかけて、きゅうりを栽培しているビニールハウスの中を、2〜5匹くらいのミツバチが飛んでいます。ほとんどの場合、姿は見えませんが、身近にその羽音がすることが多いため、それとわかります。たまに近くの黄色いきゅうりの花にとまっているのを見かけて、ミツバチだとわかります。
 時たまビニールハウスの中にハチの巣があるのを見つけることがありました。蜂の巣というと、私たちは一般的に大きなものを想像しますが、意外にもそれはちっぽけなもので10個くらいの部屋しかなく、一年たつと消滅してしまいました。メスバチはいても、女王バチはいないのかもしれません。
ビニールハウスのハチたちは、私がきゅうりの収穫をしている間、私の行く先々で羽音を立てていました。人間の私の近くにわざとまとわりついているようにさえ感じられました。事実私にまとわりついていたのです。それはどういうことかと申しますと、私の想像ではこういうことです。かれらハチにとっては、鳥獣や虫などのさまざまな外敵から身を守るには、人間のそばにいるのが一番安全なのです。実際に、人間のそばにはスズメや野良猫などの鳥獣や、蛾や蝶などの虫類が寄りつきません。人間のそばにいれば、ミツバチは花の蜜を独占して吸ったり集めたりできるし、安心してその作業に専念できるわけです。
 ですから、人間の側はなるべくそれを邪魔しないようにしなければいけないと私は思います。近づいてきたハチを手などではたいたりするのは、もってのほかです。ハチの側からすれば、人間が攻撃してきたと感じられることでしょう。ハチに接触しなくても、間近で手などではたく真似をしただけで、人間が威嚇してきたと感じられることでしょう。つまり、ハチが人間を刺すことには必ず理由があるのです。人間はおろかにもそれに気がつかないだけなのです。気がつけないから、「ハチのほうから近づいてきて、意味もなく突然襲ってきた。」と思う人が多いのかもしれません。
 従って、ハチが身近にいる時には、なるべくじっとしていたいものです。無関心を装うことです。下手に相手にしないことです。
 ところで、「ハチは雄花から雌花に飛び移って、花の受粉をするという大切な役割をになっている。」と一般的に言われています。確かにその通りです。しかし、ここ2、3年間に私が栽培しているきゅうりの木には雄花はありません。雌花しか付かないきゅうりの品種なのです。動物でも、オスがいないとメスだけで子孫を増やすものがいます。植物でも、雄花がつかないで、花粉の受精なしで雌花だけで子孫をふやすものがあります。
 とすると、次のようなことがハチに関して言えます。ハチは、必ず最初に雄花を選んで、必ず次に雌花へ飛んでいくわけではないことがわかります。ハチにとっては、きゅうりの雄花も雌花も同じ黄色い花に過ぎませんし、どちらも蜜を吸える花に過ぎないのです。だから、現在の私の栽培しているきゅうりの、雌花から雌花へ飛んで花の蜜を吸っているわけです。つまり、ハチは花粉を雄花から雌花へ運ぶことを使命として(もしくは、本能として)この世に生まれてきたのではないことが、このことからわかります。
 以上のことから共通して言えることがあります。私たち人間の側の考えることは、ハチの側から見ると思い込みに過ぎないかもしれない、ということです。そのためにハチに刺されたり、ハチの能力を誇大視してしまうのは、人間として少しばかり損な感じがします。