私の本業 生産者の責任

 ここのところ、ブログに書きたいことはあるのですが、それどころではないほど本業の方で時間を取られています。最近、卸売り市場で野菜がさばけなくて困っています。その一方で、なぜか野菜の苗が地元ではよく売れます。その詳しい理由はさておき、レタスの苗とトマトの苗を今年作りすぎてしまった私は、それらを売りさばくために忙しくなっています。
 さらに、ここ1週間ほどレタスの収穫をしていて、水分があって重みのあるレタスがとれるのはいいのですが、水分が多過ぎて、その重みがレタス自身にかかり過ぎて、傷みやすくなってしまいました。今年の春先は、低温乾燥の気候が長く続いたため、毎日大量に水やりをしていました。しかし、本来レタスという野菜は、必要以上に水分をあげてはいけない野菜だったのです。その結果、痛んだレタスとそうでないレタスと仕分けするのに時間を費やすことになってしまいました。痛んだレタスをJAに出荷したり、直売所のお客さんに買っていただくわけにはいきません。
 また、最近暑かったり寒かったりで、食中毒関係のニュースをテレビなどで知りました。腸管出血性大腸菌の話もよく聞くようになりました。以前かいわれ大根でO−157の事件がありましたから、生肉を扱っていないから安心とは私は思っていません。一番大切なことは、私自身が生産したものをお客さんに対して責任が持てるかということだけだと思います。
 私には、生肉を食べる習慣はありません。ユッケを食べたことがなかったので、牛肉を生で食べることさえ知りませんでした。
 また、現在私が本業で使っている田畑に、生(なま)の動物性の下肥えを入れたことがありません。最近の有機肥料栽培ブームで、完熟していない動物性肥料を入れ過ぎて、菌による土壌障害を引き起こしている例があります。有機栽培で栄養分の十分な補給のために、大量の有機肥料の投入は仕方ないのかも知れません。が、農業の近代化のためには、そうした衛生面にも気を配りたいものです。
 有機野菜は高い値段で売れます。だから、有機栽培は、農家が生き残っていくための一つの方法かもしれません。私が有機栽培に手を出さない理由は、消毒のための農薬を使用できない環境下で、衛生面を維持していくためには大変な手間と、お金のかかる設備が必要になるからです。生産物が高く売れても、それを維持するための手間とコストはわりに合いません。
 今回のレタス栽培を考えてみるに、農薬の散布が二回しかありませんでした。いずれも殺虫剤で、殺菌剤の消毒は一度もしていません。いくら自然に近いとはいえ、レタスが傷みやすくなった原因の一つだったかもしれません。しかし、一番の失敗は水の与え過ぎにあったようです。
 傷んでいないレタスに関しては、まず毒味をしました。私自身が食べてみて、大丈夫か確認しました。いわゆる体を張った、人体実験です。実際は、それほど大袈裟なものではありません。でも、万が一ということはあります。さりげなく食べてみて、自らの体で安全を確かめることは必要なことです。
 お客さんの口に入るものだけに、そこはやっぱり責任を持って農作物をチェックしながら作らなかったらダメだと思いました。