私の本業 閉店30分前に売れたレタス!?

 今年は年の初めからつい最近まで、朝夕が例年以上に寒くて、低温に強いはずのレタスさえも生育が悪く苦労しています。でも、3月末にビニールハウス内の地面に植えてからは、逆に日中が暑すぎる日が続きました。高温多湿で最初のうちは、苗の根のはりも良く、葉っぱの生育もよかったのですが、そのままの気温でいくと暑すぎて、レタスの葉っぱが巻かなくなってしまいます。玉レタスの葉っぱが巻かなくて、開いたままになると商品価値はゼロになります。
 対策として、やれることはやってみました。ビニールハウスの側面やヤネを開けて風通しを良くしたり、無数に生えてくる雑草を取り除いて養分や水分が奪われないようにしたり、太い給水ホースによる水やりで日中の乾燥と高温を防いだのですが、何せ自然の力に逆らうのは容易ではありません。葉っぱは大きくなって広がるものの、いっこうに巻こうとしませんでした。
 ところが、今年は失敗したかなと、あきらめようとした矢先に、気候が春先のように涼しくなって、レタスの葉っぱが巻き出しました。何日かすると玉になって、それが大きくなり出しました。
 やっといくつか大きくなって収穫できるくらいになったので、一つ採って目方を量ってから、午後5時をまわってはいましたが、夕方の直売所に出してみました。目方を量ることが目的だったのですが、用が済んだら捨ててしまうのはもったいないので、午後6時に閉店してしまう直売所にそのレタスを出してみることにしました。閉店直前にもし売れ残っていたら私自身で引き取ろうと、覚悟を決めて、店頭に並べてみました。すると、5時半頃、店の中でそのレタスを買った若夫婦の姿を目撃しました。紫色の野菜テープで巻かれた100円のレタスの玉を、まるで水風船のように手のひらの上でもてあそんでいるお客の姿を見て、ふと思いました。「彼らは、あのレタスが30分前にとれた超新鮮な野菜であることを知らないだろうなあ。買って食べてびっくりするだろうなあ。」と私は思いました。