私の本業 データの生かし方

 ー週間くらい前から、作業の状況が変わってきています。天候も、暖かくなりそうでしたが、ここ一週間で天気の悪い日が多くなって、この時期としては若干涼しい気候になってきました。
 しばらく苗屋さんへのレタスや春キャベツの苗の出荷が続いていましたが、ここへ来て、ホーム・センターがトマトやキュウリなどの夏野菜の接木苗を大量に売り始めたので、苗屋さんが売る苗も、ホーム・センターのような量販店と同じ方向にシフトし始めました。その矢先に、涼しい気候に逆戻りしてしまいました。
 私としては、苗屋さんに売れなくなった、在庫になりそうな春野菜の苗は、露地の畑に植えてしまおう、と考えていました。けれども、どういうわけか春らしい天気になって、肌寒い感じがしたので、急きょ直売所に売りに出したら、予想外に売れることがわかりました。春野菜の苗を早めに買いすぎて、今年の想定外の寒さでダメにした人が多かったのか、それとも、今の気候が想定外の涼しさで夏野菜の苗が植えられないかのどちらかです。この品目で現在競合する相手の生産者がいないため、出しても出しても売れてしまい、ここ一週間、直売所に苗を毎日出荷することに追われていました。(もっとも、春野菜の苗は1本15円か20円なので、それほどもうかりません。)
 これからの農業は勘と経験に頼ってはいけないと、誰かさんがおっしゃっていましたが、一般の家庭菜園の方は、もっと安易な方法をとっています。毎年今頃レタスの苗を植えているから、という理由だけで、寒かろうが暑かろうが関係なく苗を買って地面に苗を植えてしまうのです。いつも何月何日に苗を植えているから、という太陽暦などの暦をデータとして利用しています。が、この方法は、毎年この時期は同じような天気になるという前提に頼っており、もしも、ここ数年のように天候不順が続いていると、当てがはずれて、苗が低温と霜にやられたり、発育不良や最悪枯れてしまったりします。
 また、知り合いが苗を買って植えたから遅れをとりたくないとか、プロの農家さんが早くも苗を植えているから競って植えなきゃいけないとか、人的な噂や評判を一番信頼できるデータだと思い込んでいるのも、おかしな話です。他人の勘と経験を鵜呑みにしている場合もあるので、注意が必要です。
 私の場合は、暦や噂や評判などを一応参考にはしますが、それはあくまでも判断材料の一部です。明日以降の天候がどうなるかの正確な予測は、神様でない限りできません。その代わり、冬から春にかけては常に、一日の最低気温を気にしています。天気予報のポイント情報を見るのは勿論のこと、実際の畑にぶら下げておく温度計による実測値も重要です。苗が寒さでやられそうな時は、ビニールやネットでおおうとか、それなりの対策も必要です。
だから結局、毎日の地道なデータ収集と、そのデータに基づく自分なりの状況判断が必要となるのです。