今年はアルバイトの人が手伝ってくれたこともあって、今から一週間前に、育苗ポットに移植した苗の本数が一万本を越えました。空いているビニール・ハウスを利用して、それらを並べて栽培を続けて、毎日水やりを絶やさないようにして、苗として完成するまで育てていきます。
苗屋さんに一本15円で売り、農産物直売所に一本20円で売る計画のため、全部売れれば、それなりの金額になります。しかし、それはあくまでも夢の夢です。現実には、虫に食われたり取り扱いが悪くて、葉っぱや芽や茎が切れてしまったものや、見た目が奇形のものは、商品として売ることができません。それでも、売れる苗が一万本近くあれば、そしてまた、ビニール・ハウス内のこれからの育苗で起きやすい高温乾燥で大量に枯れなければ、かなりの数のレタスと春キャベツの苗を今年は売ることができます。
しかしながら、欲張りは禁物です。かつては一本30円で苗を売っていたのですが、去年から一本20円にしました。薄利多売と言われるかもしれませんが、それは、苗を買ってくれる人の気持ちを考えたからでした。一本30円のレタス苗からできるレタスが市販で100円であった場合、自ら苗を育てるよりもお店で買った方がずっと楽に感じられます。市販で一個100円の玉レタスと、一本30円のレタス苗が三本ではどちらが良いでしょうか。それに対する答えは人それぞれでしょうけれど、苗を育てるよりも既製品の玉レタスを一個100円で買った方が安全で確実なようです。そこで、レタスなどの苗は一本20円にして、100円玉で5本買えるようにすれば、一個100円の安い玉レタスとつりあいがとれると考えられるのです。
しかしながら、今年はまだ春とは言えない天気が続いています。例年通りにレタスを育苗して地面に植える計画でやると、思ったほど生育が進まず、遅れていることに誰もが気づきます。私の周りの人たちに聞いてみても、思わしくない情報ばかり伝わってきます。まだ、地面が十分に温まっていないようです。虫がいないわけではないのに、地表にその姿を余り見せません。思ったほど暖かくないので、それらの虫の活動も鈍くなっています。
それでも、暦の上では春なので、現在私が維持しているビニール・ハウスなどの設備や、トンネルやビニールシートや育苗ポットなどの各種の農業資材を駆使して、育苗期間をたっぷりとって計画的に栽培するならば、ある程度は寒さに耐えうる苗を作ることが可能です。今はそのことにチャレンジしている真っ最中です。苗を買ってくれたお客さんから、今年こそは良い結果を聞いてみたいものです。
そして、一万本をすでに越えた苗に一週間以上も、毎日の数回の水やりと、夕方から翌朝にかけての防寒(防霜)対策を行うことは、私にとっては未体験のことでした。なるべく苗をやさしく扱ってロスが出ないように気をつけました。そのために、例えば水やりはジョウロに水をくんできてソフトな水のかけ方をするなどという、時間と手間のかかるやり方を選んでしまいました。少し体にガタがきてしまって、ひざ痛にしばらく悩まされましたが、適度な休息を入れたおかげで、今ではそれほどそのことに悩まされなくなりました。この調子でこの作業の苦難を乗り越えられれば、今回の私の場合は成功したことになるのではないかと思っています。