ビニールが破けて命拾い?!

 この4日間、6番目のビニール・ハウスのヤネにビニール・シートを張る作業が、連日の強風に邪魔されて上手くいきませんでした。幅8m長さ26mの重いビニール・シートを持ち上げるたびに、強い風に流されて、ハウスのヤネに取り付ける前に落ちてしまいました。それを繰り返しているうちに、別の問題が発生しました。強い風さえ吹かなければ、5枚目までと同様に、取り付けることができると思っていました。が、余りに強い風がひっきりなしに吹き続けたため、いくらビニール・シートを飛ばないようにしても、風の力が上回って、とうとうビニール・シートがちぎれ始めました。2〜3箇所の小さな亀裂ならば、後でビニール補修テープで修復できます。けれども、あちこち大きな亀裂ができて、破けだしました。風の力というのは凄いものです。
 今日の午前中まで頑張ってみたのですが、新品のビニール・シートがズタズタに破けてしまったので、あきらめる決心をしました。一枚のビニール・シート代33,800円を損失してしまい、ここ4日間ほかの作業が停滞してしまいました。が、これは、私の経験不足で、風の強い時にビニール・シート張りの作業を強行してしまったその報いです。ビニール・シートがちぎれてしまったのは、天のお告げか神のお告げか知りませんが、怪我とか事故とかが起こる前兆であったのかもしれません。風の力が物凄かった中で、私は高い場所で作業をしていました。何とか作業を終わらせようとして、足元の危険を少しも感じなくなっていました。怪我や事故になる前に、作業を続けることを断念できたのは、もっけの幸いだったのかもしれません。当然のことですが、命がいくらあっても足りない作業で命を落とした場合、33,800円ぽっちで命を取り戻すことはできません。
 しかしながら、ここが会社でなくて良かったと、いまさらながら思っています。もしも社長や上司がここにいたとしたら、彼らは経営状況の悪さに怒りを通り越して卒倒していることでしょう。私の場合、お客さんは意識しますが、会社とは取引していないためそういう組織を守るという意識はここでは不要です。そこに、農業を会社化(つまり、法人化)して経営することの困難さがあります。とてもじゃないけど、生身の人間では耐えられないような状況があります。数多くの作業があるため、それら全部がいつも上手くいったり成功できる、とは限りません。あるものは成功しても、あるものは失敗します。ですから、失敗したことだけにいつまでもこだわっているわけにはいきません。
 ビニール・シート張りの作業をやめて、作業が停滞していたレタス苗の植え替え作業に切り替えました。一人でその作業を黙々とやっているうちに、いつしか強い風がおさまりました。何で今頃風がおさまるのかと思いながら、破損したビニール・シートを見てがっかりしました。でも、私自身の命あっての仕事であり作業なのだから、ゼイタクを言っても仕方がないとすぐに気が付きました。