私の本業 絶体絶命のはずが…

 秋の長雨が来ません。毎日、暑い日中が続いています。
 やっと昨日の夕方近くから夜にかけて、雷雨がありました。でも、慌てる必要はありません。暑い日中ではありますが、熱射病対策として大量の水を飲んでから、汗をかきかき、きゅうりの木の消毒をしました。今年の私は悪運が強いと言うか、大きなピンチの後によくよく調査してみると、明るい材料が沢山出てきました。問題の、足かせとなるきゅうりの契約出荷なのですが、9月いっぱいで終了予定だということがJAの指導員に聞いてみてわかりました。きゅうりの木が、最悪でもあと4週間もちこたえれば問題ないわけです。
 私は、昨年一昨年と、抑制きゅうり(秋出荷のきゅうり)の木を秋の長雨に会わせて、おかしくしてしまい、手間ばっかしかかる割には十分な収穫量をあげられないでいました。私が、秋の長雨を恐れていた理由は、そこにあったのです。今年は幸か不幸か、日照りの天気が続いて、その心配がなくなりました。また、労働力不足からトマトの木を片付けられず、その後予定していた抑制きゅうりの栽培ができなくなってしまった、という不運も、今になってみると、長雨に会う抑制きゅうり自体が今年は存在しないわけですから、無駄な労力を節約できて、かえって得をしてしまいました。
 このように今年は、思ってもみなかった予定変更が多くて、私自身が戸惑い気味だったようで す。でも、それは私がうっかりしていたとかの問題ではなく、急激な環境の変化に慣れるには時間がかかる、というだけの話だったのではないかと思うのです。
 例年私は、5月にきゅうりの苗を地面に植えて、6月7月ときゅうりを収穫し箱詰めしてJAの集荷所に毎日出荷するのですが、夏の暑さにきゅうりの木が耐えられず、枯れてしまい、8月は全く収穫がほとんどゼロでした。9月にやっと抑制きゅうりがとれるようになるのですが、夏場にとれるくらいの量は期待できません。きゅうりの出荷本数から見ても、JAの口座に振り込まれる金額から見ても、十分納得いく結果は得られていませんでした。
 ところが、今年はJAの指導員から6月初めにきゅうりの契約出荷の話がありました。7月から3ヶ月間、新規就農者の4世帯で合わせて毎日1000本(100キログラム)の定量を都市部の量販店に出荷するというものでした。そのために私は、きゅうりの木を8月に枯らすわけにはいかなくなりました。また、抑制きゅうりがトラブルのために期待ができなくなったので、9月も一定量以上収穫できるように、きゅうりの木を管理しなければならなくなりました。
 その結果、必死でやった甲斐があって、今月末まできゅうりに関しては何とかなりそうだということは、冒頭にのべたとおりです。しかも、JAへ出荷するきゅうりの量が4年前の自己ベストを更新しそうなのです。4年前、10アールの畑に800本近いきゅうりの木で5kgコンテナダンボール箱で989箱出荷しました。あともう少しで『夢の1000箱』(ここで言う『『夢』とは、もちろん『達成しがたい目標』という意味です。)を達成するところでした。一方、今年は5アールの畑に300本近いきゅうりの木で、9月いっぱいまできゅうりをとり続ければ、1000箱以上出荷できそうなのです。また、4年前と比べて、きゅうりの栽培技術力が自分なりに向上したこともわかりました。
 さらに、JAの口座に振り込まれている金額を見て最初は信じられませんでした。6月7月8月そして9月と、長期間きゅうりの収穫を継続できたことが、こんなにも美味しいことであったとは思いもかけませんでした。まず、トマトで予定の収益をえられなかった分(赤字)は補てんされてました。このブログを書くための、年間インターネット使用量も支払いの心配が要らなくなりました。農業資材・消耗品に対しても、問題なさそうです。アルバイト代も大したことなく、すでに支払われています。後は自分自身の生活代や諸雑費なのですが、おそらく大丈夫そうです。契約出荷は、悪く言えば足かせ、よく言えば安定収入でしたが、今年のように十分な収穫量があればプラスの結果になることがやっとわかりました。
 ここまで書いてみると、どこがどう絶体絶命なのか、と言われそうですが、実際には長時間労働を一人で抱え込む毎日であったことは事実でした。仕事が終わるまでは寝起きしているアパートに帰れなかったり、作業場で眠ってしまい、目が覚めたら明け方近くで、慌てて目の前にある仕事を片付けて、すぐ朝のきゅうりをとりに行くという生活パターンも何度かありました。2人以上いれば楽勝な仕事も、1人ではかなりきついことがこの仕事には多いです。私などは、疲れたらすぐどこでも眠れるようにして、3,4ヶ月の長期間の仕事を何とか乗り切ろうとしていました。今年のきゅうりに関しては、大きなトラブル無く終わりたいところです。