ISの日本語としての呼び方について

 ISというのは、いわゆる『イスラム国』の公式的な呼び方です。公(おおやけ)に『イスラム国』などと言うと、イスラム教徒の人たちに失礼だ。あんなのイスラム教徒の国家ではない。テロ組織にすぎない。という理由などから、IS(アイエス)とかイスラミック・ステートとか呼ばれているわけです。
 しかし、私は元コンピュータ・ソフトの開発技術者だったため、『IIS』(アイアイエス)をどうしても連想してしまいます。インターネット・インフォメーション・サービスといって、あのマイクロソフト社の提供しているウェブ・サーバー機能のことです。IISという言葉に似ているISという言葉を聞くと、私は、コンピュータの現代的な技術(テクノロジー)のイメージを個人的に感じてしまいます。
 また、英語的にはISは、be動詞の三人称現在単数形です。何か肯定的なイメージを、残虐なテロ組織に重ねてしまうようで、英語圏の国では本音はNGだと思います。
 イスラミック・ステートという呼び方は、カタカナ用語で意味のあいまいさを狙ったと思います。けれども、横文字を好む若者的な感覚で受け止めると、言葉の響きがカッコよすぎます。私の個人的な意見かもしれませんが、大変危険に思われます。
 私は、個人的には、テレビでニュースなどを観た時に、秘かに次のように言い換えています。「あれは『自称イスラム国』だ。」一般に、テレビのニュースなどで、犯罪者や容疑者が、『自称ミュージシャン』とか『自称会社員』などと警察に供述している、という報道をしばしば聞きます。犯罪者や容疑者が、そのように自認していても、周りの世間すなわち公には、それは認められていない場合に、そのような呼び方をすると考えられます。だとすれば、『自称イスラム国』とすれば、世界としては、それを国家として認めていない、というニュアンスがつけ加えられるのではないかと、私は思います。
 でも、もしかして、これは無謀な提案と思われてしまうかもしれません。ですから、これは、単に私が一人で秘かにそういうふうに思っている、ということに留(とど)めておこうと思っています。