嘆きのバラードを日本語カバーしてみる

 以前、NHK教育テレビの『アンジェラ・アキのSONGBOOK』という番組を見て、マドンナの『マテリアル・ガール』の日本語カバーに挑戦してみました。またまた先日、その番組をテレビで見て、今回も別の曲に飽きもせず挑戦してみようと思いました。今回もまた、あくまでも独りよがりで、私自身が楽しむことを優先して、作ることを楽しんでみたいと思いました。
 この番組の卒業課題曲"Without You"をやってみようと思います。この曲は、イギリスのロックバンドのバッドフィンガーが発表して、アメリカのシンガー・ソングライターのハリー・ニルソンがカバーしたそうです。マライヤ・キャリーもそのニルソンのバージョンを聴いて自らカバーしたところ、ヒット曲になったそうです。また、テレビのこの番組で講師であられるアンジェラ・アキさんも、自らのCDで日本語歌詞の曲としてカバーされているそうです。
 私としては、これらのシンガーの人たちやそのファンの人たちからなるべく誹(そし)りを受けないように、言動に気をつけようと思いました。そのように気をつけながら、ちょっと硬くなったオジサンの頭の想像力で、学生だった気分に戻って未熟な(プロでないという意味です。)日本語カバーに挑戦してみました。私の目的は、ただ、仕事の合間の気晴らしにちょっと私自身で口ずさめればいい程度のものを作ることにありました。
 私は小さい頃に、ハリー・ニルソンのバージョンをラジオで聴いたことがありました。でも、何となく耳にしたというだけでした。誰が歌っているかとか、歌詞の意味はどんなかとか、そうしたことには全く関心がありませんでした。ただラジオから流れてきた音楽を右から左へ聞き流していただけでした。
 ところが、先日の夜にテレビのこの番組を見て、この曲の歴史や詳しい日本語訳を学んでいくうちに、私の気持ちに変化が生まれました。この日本語カバーは難しそうだ、とまず思いました。講師のアンジェラさんが言われるサビの部分の『心の叫び』がこの曲の大きなポイントでした。それを日本語でどう表現するかが、簡単に思いつけませんでした。英語のもとの歌詞の文法と表現も、若い学生さんにはちょっと難しそうでした。すると、この曲にこそ挑戦してみる価値があることに私は気がつきました。まさに、この番組の卒業課題曲にふさわしい難しさと私は向き合いそうだと思いました。
 それに今回は、次回の番組の日本語カバーの実例を見るのを待たずして、私なりに挑戦してみようと思いました。前回の私の挑戦が、後出しじゃんけんのようで卑怯に思えたからです。次回の番組が最終回で、既に収録済みだと思われましたので、私がここでヘタな挑戦をしても悪影響はないと判断しました。
 『心の叫び』を盛り込んだ嘆きのバラードを日本語でどう表現すると良いでしょうか。それ自体、困難だと思いますが、ともかくチャレンジしてみることにしました。

  君と別れて

笑顔に隠れた 悲しいまなざし
いつになく 美しい人
胸に突き刺さるような さだめ
この胸に

明日になっても 忘れはしないさ
悲しみに向き合えれば
君は君のまま
でも、わかって この僕を

さみしい その夜道は長くて
くるしい この胸のうちを
いとしい 君に伝えたくて
むなしい その日々を過ごす

未練がましくて 嫌われてしまいそうな
僕を捨てて去ってゆく
君は風に吹かれたように
旅に発つ

さびしい その夜道は暗くて
いとしい その姿は消えて
くるしい もう耐(た)えていられない
つらい  その日々は続く

 ちょっとだけ説明しておきます。サビの部分の『心の叫び』は、財津一郎さん(チューリップの財津和夫さんではありません。)の『ぴゅんぴゅん丸の歌』の「きびしーい。」とか「さみしーい。」とかと、歌の後に付け加えるところを参考にしました。『ぴゅんぴゅん丸』というアニメ自体、若い人たちにはわからないと思いますが、私が子供の頃にテレビでやっていた東映動画の忍者アニメです。『さすがの猿飛』よりも、はるか昔にやっていました。
 その他にも、私が幼い頃にテレビで見ていた『忍者ハットリくん』は実写版でした。実は、ハットリくんの顔はお面のようでした。『仮面の忍者 赤影』も実写版で、私はよくテレビで見ていました。何と、世界制覇をもくろむ卍(まんじ)党に対抗して織田信長が伊賀から呼び寄せた忍者が赤影だったそうです。(その設定がフィクションであったことは明らかです。)赤い仮面とスカーフが印象的でした。他にアニメでは、『サスケ』なども再放送で何回も見ました。その主題歌に、忍びの術の紹介が入っていました。
 余計な昔の話になってしまいましたが、元に戻しましょう。この歌のサビの部分(例えば"I can't live")で、『心の叫び』とか『嘆きのバラード』とかでシンガーがシャウトして声を伸ばせるように、「さみしい(さびしい)」「くるしい」「いとしい」「むなしい」「つらい」などの『い』で終わる形容詞を並べてみました。また、それらの言葉で、文字通り、感情をストレートに表現してみました。別に言葉遊びをしたいわけではなかったのですが、結果的にはそうなっちゃったかもしれません。例えそれがコミカルであっても、それだけでも楽しめたことに私は満足することができました。