カレーにジャガイモを入れる

 予期せずして取れたジャガイモは、直売所に出荷した袋の数は多くありませんでしたが、よく売れてくれました。今の所、完売しています。小芋類は、私がもらうことにしました。それを水で洗って、土を落とします。それを丸ごとか、もしくは包丁で半分にして、鍋に入れて強火と中火で煮込みました。新じゃがなので、皮を剥く必要は無く、煮崩れも起こしませんでした。
 豚肉を切って、一緒に中火で煮込みました。最後に弱火にしてカレーのルーを砕いて入れて、お玉でかき混ぜてルーを溶かして出来上がりです。
 そう言えば、私が二十代半ばの頃、仕事で千葉県の日立製作所の茂原工場へ、日立製ミニコン向けにFORTRANプログラム用のグラフィックパッケージソフトを売りに行った時のことを思い出します。(ミニコンとはミニ・コンピュータの略です。VAX(ヴァックス)という機械が有名でした。大型コンピュータに対してのミニだったので、ミニコン一台は最低でも洋服ダンスほどの大きさがありました。)会社の別のプロジェクトで開発済みだった大型コンピュータ用のグラフィックソフトを、日立製ミニコン用のパッケージソフトに修正するのに私一人で1ヶ月かかりました。それを2、3日間、日立製作所の茂原工場の発注元へ日帰り出向で行って、お客さんのミニコンに組み入れる作業をして来ました。そのグラフィックパッケージの売上げ額は、新米技術者の私の給料を3年分払える金額でした。(ちょっと自慢してしまいました。でも、お金を儲けたのは、会社であって私ではありません。従って、私の自慢では本当はなかったわけです。)
 千葉の茂原工場へ行った時のお昼すぎに当工場の社内食堂で、私は値段の一番安いカレーライスを食べました。そのカレーライスには、ルーの中に豚肉の小さな切り身が一個と、大きなジャガイモが半分に切って入っていました。一口で食べられないほどの大きさのジャガイモがよく煮込まれていて、おでんの大根にかぶりつくのと同じような美味さがありました。また、その玉の大きさ及びほど良い固さから、おそらく工場の近くの畑で取れたような新鮮な物のように思えて、そのジャガイモの大きさを残したまま調理されていたことに豪快さが感じられました。
 その時のことを思い出すと、カレーの具にはやっぱりジャガイモが一番だと私は思うのです。特に、皮が薄い新じゃがは、煮崩れがしにくくて、カレーの具として最適です。私は、こうして自ら作ったものの出来を確かめるために、味見も兼ねてジャガイモ入りのカレーを食べてみたのです。もちろん、ご飯は、昨年収穫した自前のお米(ただし、去年新米として直売所に出荷したものの、新米の賞味期間内に売れなかったので自ら引き取ったお米)でした。