「コロナかな?」と思っても…

 最近、新型コロナウィルスの新規感染者数が、私の住んでいる長野県でも増え出しているようです。その新たな感染は、従来の免疫機能をすり抜けるとも言われています。そして、気候が寒くなって、体がだるくなったり、消化器系あるいは呼吸器系の調子が良くなかったりといった、これまでとはちょっと違う風邪症状になったりします。市中に流行の気配もあります。つまり、いつまでたっても、そのようなウィルスの影響はなくならないようにも感じられます。だから、これらのことを不安に思っている人も少なくないことでしょう。
 しかし、ここで、私たちは、よくよく考えてみる必要があると思います。そこには、何か盲点があるようです。「新型コロナウィルスは再度何度も感染して、これまでのその免疫機能をすり抜ける」と言うのならば、なぜワクチン接種は効果があるのでしょうか。いくら抗体の量が増えるといっても、その抗体は一つ変異前のウィルスに対応しているはずなのに、なぜそれが新たな変異ウィルスに有効なのでしょうか。それらのことに気になってしまうのが、私の悪いクセなのかもしれません。(テレビの『相棒』の右京さんみたいになってしまいました。)
 ひょっとしたら、ということをお話いたしましょう。そうした体調がすぐれないのは、コロナの変異株のせいではなくて、何か別のウィルス(インフルエンザウィルス)のせいではないのか、ということに私は思い至りました。咳が出るのは、ひょっとして、新型コロナウィルスよりもインフルエンザウィルスの影響のほうが多いからかもしれないと、私なりに考えてみました。
 インフルエンザウィルスといえば、私は、半世紀以上前からひどい目にあってきました。小学生低学年の頃は、年末が近づくと扁桃腺がはれて、38度をこえる高熱が出て寝込んでいました。中学生の頃も、まだまだ風邪症状に悩まされて、体がひょろひょろで丈夫とは言えませんでした。高校生になって、いくらか丈夫になりましたが、熱が出たり体調が悪い時は、早めに寝床に伏して、翌朝には回復していることが多くなりました。
 風邪症状に対するそのような対処パタ-ンは、20代以降の社会人になってからも続きました。つまり、私は、インフルエンザを含む風邪症状に対して、事前にワクチンは打たず、何らかの発症をすると、薬を飲まずに、早めに床に伏して休養するという対処方法で切り抜けてきました。そうして軽症だったかもしれませんが、いろんなインフルエンザの症状を経験してきました。要は、そうした風邪症状や下痢症状などをこじらせないようにするために、十分栄養を摂って、かつ十分体を安静にして、抵抗力をつけるということでした。
 これが私の基本的な対処法でしたが、それでも3年前にひどい経験をしました。確か、日本で開催されたラグビ-のワ-ルドカップの直後で、インフルエンザが大流行したことがありました。あの頃は、インフルエンザの流行でひどい目にあった日本人が多かったはずです。にもかかわらず、現在のコロナ禍のように不安になっていた日本人はほとんどいなかったと言えます。私も、どこからともなく、そのインフルエンザウィルスに感染してしまいました。ひどい風邪症状でしたが、これまでの対処法で2、3日後には治りました。そして、どうして日本人はこんなに無神経なのだろうかと、その時私は思いました。(それから1年も経たずして、このコロナ禍が始まったことは、皆様がご存知のとおりです。)
 したがって、昨今の新型コロナウィルス新規感染者数の急激な増加の原因を、論理的に考えてみると次のようになります。何らかのインフルエンザウィルスに感染して具合が悪くなった人の多くが、新型コロナウィルスのPCR検査を受けてみたら陽性になっていた。このパタ-ンが多くなっていると考えられます。すなわち、インフルエンザで体調が悪くなっている人の多くが、新型コロナウィルスにも感染していることがばれてしまった、ということだと思います。インフルエンザにかかっていれば、新型コロナウィルスに感染しないという法はありませんから、おそらくそうなのではないかと考えられます。新規感染者にかぎらず、すでに新型コロナウィルスに感染したことがある人の体内にも、また、ワクチンを接種してきた人の体内にも、『新型コロナウィルス』とこれまで呼ばれてきたウィルスは入り込んでいると思います。ただし、ある専門家さんのおっしゃるとおり、それが次第に悪さをしなくなってきて、発症さえしづらくなっているのは事実だと思います。
 現時点で用心するべきは、インフルエンザウィルスなどの他のウィルスによってひき起こされる風邪症状などを、私たちが軽視しないことだと思います。「新型コロナの感染じゃないから大丈夫だ。」と考えて、風邪症状などをこじらせてしまうのは、最も危険な選択になります。