地球温暖化のそもそもについて

 なぜ地球温暖化が起きるのか、その根本的な理由を考えてみなくては、と思いました。それを考えるためのキーワードは、『産業革命以降』『化石燃料』『温室効果ガス』などの言葉です。しかし、もう一つ大切な言葉が忘れられていることが気になります。
 これまでの私たちは、地球温暖化による地球環境問題について、地球環境保護団体の活動をニュース報道で観ているので、そういう政治的活動が主力の案件だと思いがちでした。また、日本の高等教育のカリキュラムでは、地理や地学の分野で気候や天候などの『気象』について詳しく学びます。よって、物理学の分野などで、地球温暖化によって引き起こされているであろう『気候変動』について扱うことは、将来的にもありそうにないことです。
 しかし、つい最近、地球物理学研究者の(元日本国籍の)おじいさんがノーベル物理学賞を受賞されました。その受賞理由は、地球温暖化に関するものでした。そこで私は、地球環境保護団体の政治的活動や、現在日本の高等教育カリキュラムの事情などを忘れて、物理学でどんなことを扱っているのか調べてみました。(というのは、私は、高校時代に物理の授業が苦手で、成績も悪かったので、何を学んだのかほとんど憶えていません。今になって、NHKのEテレ高校講座『物理基礎』を時々録画して観ています。)
 すると、地球温暖化を考える上で必要不可欠な、もう一つのキーワードに気がつきました。『(エネルギー機関の)熱効率』という言葉です。つまり、これは幼稚な発想かもしれませんが、そもそも地球温暖化とは、人類の発明した各種エネルギー機関の『熱効率』の悪さ(ざっくり言って、20~30%前後)から由来している問題だったのです。
 今回私が知った限りでは、物理学では、熱エネルギーに関しても詳細に扱っています。温度とは何か、ということから始まって、熱エネルギーが仕事をする(つまり、運動エネルギーに変換される)仕組みとそのエネルギー効率についても研究されています。当然のことですが、蒸気機関やガソリン機関やディーゼル機関等々の各エネルギー機関からは、熱エネルギーが発生してそれが利用されて運動エネルギーが取り出されます。しかし、その際に、大部分の熱エネルギーは各機関の外に逃げられてしまう(言い換えると、棄(す)てられてしまう)のです。その捨てられた熱エネルギーは、なくなりません(熱エネルギー保存の法則)。ここが重要です。その熱エネルギーは消失することなく、そのほとんどが地球外へ放出されずに、地球の大気内で蓄積されてきていた、ということなのです。つまり、これが地球温暖化のそもそものメカニズムだと、私は理解しました。
 もしも、そのような仮説が正しいとするならば、現在世界で行われている地球温暖化への対策で何をして何をしてはいけないのかを、微調整する必要があります。そして、何よりも気をつけなくてはならないのは、温室効果ガス(主に二酸化炭素など)を削減して、それで解決という問題ではないということです。それは、必ず失敗することでしょう。地球内にとどまっている熱エネルギーの総量を「どげんかせんと」、この問題は根本的には解決しないと、(至極、幼稚な発想なのかもしれませんが)私は思います。