気候変動のナゼを知る必要について

 先日のノーベル賞の授賞式で元日本国籍のおじいさんが「若い人には気候変動を研究してもらいたい。」というようなことをおっしゃられていました。皆様は、どのように思われたことでしょうか。もちろん、その言葉を文字どおりにとって支障はないと思います。
 ただ、私なりに深堀(ふかぼり)して、文学的に尾ひれを付けて解釈いたしますと、こうなります。「気候変動を研究することは、未来に起こるであろう気候変動による災害から、結局ご自身の命を守ることにつながります。それを未来のある若者がすることによって、未来のある一生を自ら切り開くことができるのです。」平たく言えば、「ご自身の人生や命や未来をご自身で獲得するために、気候変動の研究は必ず役立ちます。」という意味のことをおっしゃられたと、私は解釈しました。
 例えば身近な例で申しますと、地球温暖化が叫ばれている一方で、この時期の北半球でいわゆる冬将軍が来るのはなぜか、といった疑問があると思います。実は、地球各地の平均気温についても、いわゆる『平均値のマジック』が影響しています。つまり、私たちは、そのような平均値の数学的マジックについて学んで、改めて地球温暖化の実状を知らなくてはなりません。(この『平均値のマジック』については、機会を改めて私の意見を述べたいと思います。)
 また、別の身近な例で申し上げますと、干ばつと洪水、あるいは、氷山の凍解と雹(ひょう)の被害は、相反する気象現象じゃないか、と思う人も少なくないことでしょう。爆弾低気圧による大洪水、あるいは干ばつによる山火事などの自然災害で、地球上の天候や気候が荒れているのはわかりますが、そうした気候変動全ての原因が地球温暖化だなんて、にわかに信じがたいという人も多いことでしょう。
 つまり、この問題を考えるためには、そうした様々な気候現象がひき起こされる個々のメカニズムを具体的に詳しく知ることが大切だと言えましょう。そのことは、毎日、お天気予報士さんの解説などをテレビで観ているとよくわかります。すでに、日本の気象予報士さんの中では、そうしたメカニズムの解明に着手されている場合が、しばしば個々に見受けられています。
 特に、若い人たちに対して言いたいのですが、そのような具体的な気候変動のメカニズムを詳しく知らずして大騒ぎすることこそ、愚かなことはありません。また、「二酸化炭素などの温室効果ガスを削減さえすれば、この地球温暖化の問題はほぼ解決する。」という早急な意見に、私が大反対する理由もそこにあります。基礎からちゃんと研究しないで二酸化炭素の削減ばかりに気をとられていると、必ず失敗します。失敗したくなかったならば、ちゃんと基礎から勉強して、日々のお天気情報にも関心を持って、かつ研究を進めて、自分で自分たちの未来を築く意欲を持ってほしいと思います。