ロックダウンという言葉の濫用について

 私がネットで調べたところによると、この言葉はまだ日本語の辞書には載っていないとのことです。しかし、最近のこの言葉の使われ方によって「緊急事態により、建物やエリアへの出入りが自由にできない状況」というような意味が付け加わったようです。

 私はそのようなことをネットで調べて知って、「なるほど。」と納得しました。けれども、そうした予備知識の無い多くの人々が、いきなりテレビで感染症制御学の専門家さんやエリートさんなどが「ロックダウン。ロックダウン。」と連呼するのを観たならば、どういうものかと思いました。それが年配の真面目な日本人の皆さんだったならば、心臓がバクバクして止まらないことでしょう。この緊急事態時に、とっても耳障りです。その民放ニュース番組は、そこでそれ以上視聴する気がなくなったので、私はロックダウンさせていただきました。(その専門家さんは、その「ロックダウン。」の言葉以外には、感染症対策について優れた意見を述べられていただけに、私としてはとっても残念でした。)

 そもそも、日本国で欧米のようにロックダウンができないのは、人権云々の問題ではないと私は思います。中学高校の地理の授業で習ったとおり、欧米のほとんどの都市は、外敵の侵入から市民を守るための『城郭都市』としてできています。その都市構造に沿って、対策が取りやすい方法が都市封鎖というわけです。忘れている方々は、もう一度、中学高校の地理の授業を復習していただきたいと思います。

 それでは、現在の用法の『ロックダウン』の意味で、緊急事態時のシミュレーションをしてみましょう。『ロックダウン』信奉の専門家さんの危機感をあらわにした感情論に沿って予想を進めます。刑罰的には、道行く人を無作為に捕まえて、道路交通法違反で罰金を取るのが一番効果的だと、『ロックダウン』の専門家さんにはお伝えしておきましょう。勿論、感染症対策には、取り締まる側が防護服を身につけなければならず、容疑者を取り逃がすリスクも考えておかなければならないと思います。業務執行妨害で逮捕拘留という手もありますが、あちこちの警察機関で集団感染が発生するリスクも、その専門家さんにはお伝えしておきましょう。ついでにその専門家さんに、口先だけでなく、いずれ社会的な責任も負っていただくようお願い申しあげます。何を言ってもかまいませんが、その結果によってはペナルティも用意されていることをお忘れなく。あなた方が脅しているつもりの大衆は、見かけほど馬鹿ではないことを、逆に、あなた方の言動が、テレビの画面から多くの人々に監視されていることもお忘れなく。