勘違い?それとも、思い込み?

 先日(2月10日に)私は、JA信州うえだのきゅうり部会の視察研修会に参加して、群馬県に日帰りで行ってきました。群馬県伊勢崎市にあるK種苗株式会社『くにさだ農場』、および、当地のきゅうり生産者の圃場見学に、総勢28人の参加者の一人として行きました。その『くにさだ農場』は伊勢崎市の国定町の近くにあります。その町名は、おそらく「赤城の山も今宵限り。かわいい子分のおめえ達と別れ別れになる門出だ。」と言ったあの国定忠治から来ています。
 今回は勉強会と同じなので、観光気分はほとんどありませんでした。移動のバスの中で、缶入りのお茶を一つ頂いただけでした。お昼は、K種苗会社さんが準備して下さった仕出し弁当を食べました。また、『くにさだ農場』からの帰り道で、地元のJA直売所の小さな建物に10分くらい見学に立ち寄りましたが、私は一本80円の大根を買っただけです。それは、その地元の伊勢崎市で最近とれたらしい、身のしまってしっかりした大根だったので買ってみることにしました。(この時期の大根は、胃腸が弱って食欲が無い時に、大根おろしにしてご飯と一緒に食べるといいみたいです。)
 他の種苗会社さんもそうですが、K種苗会社さんでも、日本各地の生産者を自社の講習室や試験圃場に招致して、栽培の講習会や圃場見学を定期的に実施しています。是非自社で交配した種や苗を買ってください、という目的で、その栽培のノウハウやメリット(例えば、病気に強いとか、ウイルス対抗性に優れているとか、食味がいいとか)を説明してくれます。そうした話を聞きに行くことは、農産物の生産者にとっては勉強になります。そうした話を聞いて疑問に思う点は、その場で簡単に質問できます。種苗会社さんの側もこの商売に命をかけているので、かなり詳しく熱心に答えてくれます。
 また、今回行った種苗会社さんの近所で、きゅうりの種で取り引きのある、きゅうり農家さんのビニールハウスを見学に行きました。そのビニールハウスと道を挟んで、牧場があって、ポニーとか農耕馬が飼育されていました。そのきゅうり農家さんは、向かいが牧場なので、忙しくて気が張った時に馬たちを見ると気が休まると言っていました。
 その農家さんは、加温きゅうりをやっていて、この2月3月中にも群馬県産のきゅうりを育てて出荷していました。まだ寒い冬のうちに重油を焚いて、密閉して室温を上げたハウスの中できゅうりの木を栽培するのが、その加温によるきゅうり栽培です。加温器には室温センサーがついていて、そのセンサーで自動的に加温器の作動スイッチがオン/オフするようなっています。また、そのスイッチのオン/オフした日時が自動的に記録されるようになっているそうです。その自動加温の記録が、きゅうりのその後の栽培に生かされるのだそうです。そしてまた、毎日の最低/最高気温も壁面カレンダーに記録されていて、それによると今年は群馬県で今までになかったくらい屋外の気温が低い日が多いそうです。
 それはともかくとして、今回私が群馬県のこの地を訪れて気がついたことは、積雪が無くて長野県の上田より暖かだったことです。北関東自動車道を走っている途中で眺めていたはるか遠くの北の山々にも、余り雪は見えませんでした。そう言えば、上田から上信越道で、小諸・佐久・軽井沢・横川と通過して群馬県側に入っても、不思議と積雪を見ませんでした。頂上まで雪で真っ白になっている大きな山を一つだけ見かけましたが、それは群馬県側から見た浅間山でした。
 実は私は、前の晩まであることを心配していました。連日テレビのニュースで日本海側に近い豪雪地帯の報道を見ているうちに、地元の上田よりも標高の高い小諸から横川まで、その先の群馬県地域までの積雪と冷え込みを心配してしまいました。地元の上田では、最近降雪はほとんどありませんが、日陰の道路の雪は融けずに積雪として残っていました。地元の上田よりも標高の高い地域の道路や高速道路は、積雪と冷え込みで路面が凍結して危険な状態になっているのではないか。特に、軽井沢と横川の間のあたりが大きな車両がスリップして危険なのではないか。というような心配をしていました。
 実際には、それは私の勘違いもしくは思い込みでした。地元の上田を出発する時から青空の見える良い天気でした。横川に着いて群馬県側に入っても、その良い天気は変わりませんでした。降雪の心配が無かったことは勿論のこと、積雪でスリップするような箇所も見当たりませんでした。
 私は、この研修に参加する前日および前々日の天気予報を詳しく見ていたつもりでした。三時間毎のポイント地域予報とかを見ていたつもりだったのですが、佐久や軽井沢地域の予報を見逃していました。その結果、それらの地域を通過する高速道路(上信越道)の状況予想を誤ってしまったのです。
 しかし、こうしたことでも日頃の用心を重ねることは大事なことだと思いました。今回の視察研修会の行程スケジュールを通知された紙で確かめてみると、日帰りでも十分余裕のある移動時間がとられていました。また、30人ほどの乗客の中型観光バスの運転手さんは、交通事故を起こさないようにかなり用心して運転されていました。高速道路上でもなるべくスピードを出さないようにして、少々時間が遅れても安全運転を優先されていました。乗客の側としては、そのことで運転手の努力がわかってかえって安心できました。私たちは、交通事故のことをつい忘れがちですが、この種の不幸な事故に遭わないためには、それだけの注意や用心が必要であることを私は改めて思い起こしました。