私の本業 焚き火の作業

 人手を使うと採算が取れないので、ここ数日間、日中に一人でその準備していたのですが、今日の午前中に焚き火をしました。『焚き火』と言うと、ここのところ寒い日が続いているので、都会で暮らす人から見れば、暖かくてうらやましいなあ、と思われるかもしれません。都会じゃあ、家が混んでいて、煙も炎も火事と間違われて、近所迷惑になりかねません。
 私が現在暮している地元でも、家の近くで焚き火をすることは、火事を起こす原因になります。消防署から車が飛んで来て、消防員から厳重注意されます。
 私は、きゅうりとトマトを春から秋にかけて栽培している関係で、冬になるとその蔓(つる)や木を枯らして、その残渣(ざんさ=のこりかす・くずのこと。)をいっきに焚きます。もちろん、いつ、どこで、焚き火をするかをあらかじめ最寄の消防署に電話で連絡しておきました。消防署の指示通りに、焚き火のそばにバケツ1杯分の水も汲んで置いておきました。
 今年の場合は、ビニール・ハウスの西側から4、5メートル離れた場所に小さな物置小屋二個分くらい、枯らした植物の残渣を積み上げました。焚き火ができる場所は、ビニール・ハウスの側面か角から少し離れた空き地をスペースに利用します。風の向きと強さでビニール・ハウスに火の粉がかかりにくくするためです。また、焚き火をする場所の80メートル四方に民家が無いことを確認しておきました。私の借りているビニール・ハウスの場所は圃場(ほじょう)区画整理がされた場所だったので、その周囲は田んぼか畑か農道しかないため、焚き火の煙で民家から苦情が出る心配はありませんでした。
 もちろん、その日の風向きと強さにも注意をしていないと、大変なことになります。一度火をつけて燃え出したら、人間の手ではそれを簡単にはコントロールできないからです。
 つまり、これは童謡などの一般的な『焚き火』のイメージにあるような、郷愁を誘うようなものではありません。現に今朝はひどく寒くて、北風がビュービュー吹いていました。積み上げた植物の残渣の山の北側の端から、百円ライターでちょっと火をつけただけで、驚くべき速さで火が燃え広がりました。今朝の寒さからして、火が燃えるための温度がそれほど上がらず、全体が燃え出すには多少時間がかかるだろうと思っていました。しかし、その予測はみごとに外れました。ここ数日間は雨が降らず空気が乾燥していたため、燃やそうとしていた植物の残渣がよく乾燥していました。みるみるうちに高い火柱が上がって、5メートルの高さのビニール・ハウスよりも高くなりました。
 幸いなことに、冷たい北風が強かったために、長くて大きな炎が南になびいて、ビニール・ハウスにかかりませんでした。もしも西風が強く吹いていたら、ビニール・ハウスの屋根に炎が燃え移ってしまったことでしょう。無理をしてでもあと2、3メートルは余分に、燃やすものをビニール・ハウスから離しておくべきでした。
 私の悪運が強かったのでしょうか、今回こんな状況になっても、ビニール・ハウスの屋根のビニールが溶けることはありませんでした。窒息してしまいそうなくらいの白い煙と、暖をとるどころではないものすごい高熱にあたりが包まれて、危険な状態でした。私はその場を少し離れなければなりませんでした。でも、朝から空気が冷え込んでいたので、ビニール・ハウスが熱で溶けることは幸いにもありませんでした。
 午前9時から12時までと、消防署に焚き火の作業をする時間も知らせていました。例年だと、きゅうりの木の残渣に含まれる水分でなかなか燃えず、時間を超過するのが普通でした。しかし、今回は最初の一時間で小さな物置小屋二個分の残渣のほとんどが燃えてしまいました。お昼の12時になって、予定通りほとんど燃え尽きて、バケツに汲んだ水で消火しました。
 このように、今日行った焚き火は、子供の火遊びになってはいけないものであり、危険を伴った一大イベントでした。ただし、お昼の12時前に、最近売られている木のくずを押し固めて作った合板の切れ端があったので、どのように燃えるのか実験してみました。いわゆる大人の火遊びでしたが、そのような合板が燃えるとどれほど危険かというのがよくわかりました。
 最後に、その結果を報告しておきましょう。火がついてすぐには燃えませんでした。白い煙が出て、やがて火が接触した面から、今度は逆に火が噴き出しました。それから、板の両面から火が噴き出しました。この状態では、木の板が燃えていると言うよりも、長持ちする燃料が燃えているという感じがしました。そのことを確認した後、燃えカスに十分水をかけて消火しました。それで今年の大規模な焚き火の作業は終わりました。
 改めて、火の用心には十分気をつけるべきことに私は気づかされました。