あってもいいかも、非正規労働党

 ローカルな、小さな話をいたしましょう。私は、作家さんではないので、小説などの文学的作品は作りません。が、虚構とか妄想を考え出すのは、得意なのかもしれません。その線で、今回の話を進めてみたいと思います。
 国会が解散したという報道を、私はテレビのニュースで観ました。今度の選挙は、国民が政権を選択する選挙なのだそうです。
 しかしながら、私は、政権選択には興味がありません。誰が政権を取っても、結局同じではないのか、という思いに至る、疑念があるのかもしれません。だから、政府与党は、今まで通り自公政権でよいのかもしれません。でも、私は現状に満足しているわけではありません。日本の野党の政党が心配でならないのです。
 その心配は、今になって始まったわけではありません。しかし、政府与党が、『働き方改革』を提案し始めた頃から、私の野党政党への不安と懸念は決定的となりました。そもそも、日本の労働者の側に立って、働き方や働く環境をあれこれ問題とするのは、野党政党の役割ではなかったのか、と思われます。それを、政府与党に主導権を握られて、議論されてしまっては、野党政党の立場がないと言えましょう。まさに、政府与党に、野党政党は骨抜きにされてしまっています。常識的に考えて、そんな野党政党に、選挙で一票入れたくはありません。
 近年、労働組合を支持母体としてきた野党政党の力が衰退していることは、誰の目にも明らかです。民間の企業では、正規社員よりも非正規社員が数を大きく上回っています。そんなご時世であるにもかかわらず、その大多数の日本国民の声を吸い上げられない野党政党が、国会の場で多数決に勝てるわけがなく、政権が取れるわけがない、と私は考えるのです。
 私は、サラリーマン時代は、正規社員も、(契約社員としてですが)非正規社員も、経験しています。今は脱サラして、正規社員でも非正規社員でもありません。しかし、そうしたサラリーマン労働者の声が、本当に政治や選挙に反映されているのか疑問に思うことがあります。彼らの声が何らかの形で反映されていれば、子育て世代の生活がどうのこうのということは、今さら問題視されるはずはないと思うからです。
 そこで、私が考え出した妄想は『非正規労働党』です。考えてみれば、今の日本経済は、企業の非正規社員の労働力なくしては、成り立ちません。現在の日本において、彼らは、それ相応の力を持つべきなのです。しかし、現状は、そうなってはいません。企業の経営陣によって、骨抜きにされていると言えましょう。そこで、その『非正規労働党』が、各企業の非正規社員の声に耳を傾けて、彼らに不利になるような法案や法令を国会でチェックして、彼らの立場に寄り添った提案を国会の場でしていくのです。
 その『非正規労働党』は、必ずしも、非正規社員やその経験者が党員である必要はないと思います。プロの政治家に、その仕事を任せるべきだと思います。日本全国の非正規社員の側に立って、彼らの生活が少しでもよい方向に向かうような政治活動をするならば、選挙に投票する人も増えると思います。
 なぜならば、日本企業の非正規社員は、これからも増えこそすれ減りはしないからです。また、企業が非正規社員の労働力に依存する割合が大きくなるだけではなく、彼らの給料によって養ってもらう人たちの数も増えてくることでしょう。いずれは、その『非正規労働党』の提案するいくつかは、政府与党が耳を傾けて受け入れてもらえるようになるかもしれません。その提案のいくつかを、政府与党が、自らの法案としてパクッてくれたら、しめたものです。
 このような野党政党が、今の日本にないことが、私は残念で仕方がないのです。