私の本業 課題の克服

 昨日と今日のカンカン照りの日中に、私は何をしていたかと言うと、草刈り機を駆使して田んぼの畦の草刈りをしていました。その30アールの田んぼを借りて今年で3年目になりますが、どうしてもこの時期は、きゅうりの栽培と収穫が忙しくなって、田んぼの管理がうまくいっていませんでした。私が借りている場所を挟んで、上と下の田んぼをやっているのはいずれも兼業農家さんで、土日祝日に田んぼの作業をされています。今時分は、上下いずれの田んぼも畦の草刈りがされています。この仕事を専業でやっているはずの私のほうが、本業のきゅうりの作業にかまけて、その田んぼの草刈りができずにいました。
 これまでに、除草剤を使ったにもかかわらず突然の雨に降られて薬の効果が無効になったり、草刈り機を使ったものの雑草が伸びすぎて草刈りに余計な時間がかかったり、十分な草刈り後の結果が得られなかったりと、過去の実績を自己評価してみると、必ずしもその作業の結果ははかばかしいものではありませんでした。しかも、このような草刈り作業は、一銭にもならない作業だと、都会生まれの私はかつて思っていました。本当に、この作業は一銭にもならないサービス残業のようなものなのです。おそらく会社経営者が農業に参入したとしたら、省きたいと考える作業の一つになると思います。
 なぜ田んぼの畦を草ぼうぼうにしているといけないか、と言いますと、イネの病気や害虫、害獣(ヘビやモグラなど)や有害な雑草が広まる温床になるということと、農業機械を入れて田植えや稲刈りや脱穀をする時に邪魔になるからです。単に、田んぼの景観が悪くなるとかいうことだけではないことに注意したいものです。
 今年の私は、この田んぼの草刈りを一ヶ月に一度の割合で実行することに決めました。毎月の初めに、きゅうりを扱う忙しさとは無関係に、その草刈りを無条件で行うこととしました。ここに来て、暑さの厳しい日々が続いて、きゅうりの栽培管理も大変なことは事実です。栽培している『きゅうり』よりも先に、私自身の体のほうが参(まい)ってしまうかもしれません。
 しかし、私は、こうした作業は若者に任せたほうがよい、とは考えていません。若くて体力があることが、この課題を克服できる理由になっていないと思うからです。私自身、二十代の若い頃に働いていた時のことを思い出してみると、仕事で無茶をしてかえって体調を崩したことが少なくありませんでした。
 仕事で無理をして結果を出すことが、正しいとは言えない場合もあるのだと思います。兎も角、今回の私はマイペースで作業を進めることができました。これまでうまくいっていなかった広範囲の草刈りを終えて、その田んぼ全体を見渡す余裕さえありました。
 無理さえしなければ、つまり、今の私自身が一人でできることの限度を知っていれば、大きな怪我や病気をしなくて済むのかもしれません。この世の中では、誰でも会社組織の中で、自分自身よりも他人(ひと)のために必要以上の無理をしてしまうことが多いのかもしれません。私が脱サラをした、その大きな理由の一つはそこにあったのだと思います。貰(もら)えるお金が大切か、救える命が大切か、その選択を迫られることが誰にでもあるのだ、と思いました。