日本に笑われる?

 たまたまヤフーのニュース欄を見ていたら、韓国のテコンVというロボット・アニメがあることを知りました。そのロボットテコンVというのは、日本のマジンガーZに酷似しているそうです。「日本のパクリキャラを独島に設置することは、独島を日本に渡すことと同じ。」などという韓国の人の意見もあるそうです。「日本で笑いのネタになる」とか「平和どころか葛藤をあおるだけ」という意見もあるそうです。そのテコンVという韓国製アニメを日本人の前で上映することを「恥ずかしい」と思う韓国の人々もいらっしゃるそうです。
 しかし、結論から言いますと、それに対して日本人は笑わないと思います。少なくとも、日本人の一人である私は笑いません。日本の真似をしたからといって、ちっとも恥ずかしいことではないと思います。
 そもそも、文化に国境があると考えることがおかしいのです。韓国のP大統領が「東アジアでこれほどまでに経済が発達したのに、なんで歴史認識で対立してしまうのでしょう。」みたいなことをおっしゃっていたのを私はテレビを通じて知りました。実は、東アジアで国境を越えて発達したのは、経済だけではなく文化もそうなのです。
 歴史だって文化の一部だと思います。その認識の仕方が違うことをことさら問題にして、政治や外交の駆け引きに利用することが間違っているのです。専門家は、時の権力者に不利になることは、口が裂けても言いません。そんなことをすれば、切られてしまうことが目に見えているからです。『わが国』に不利になることは黙って、『わが国』に有利なことのみを国益として伝えることが、専門家自身の国家に対する使命と考えられます。韓国のI大統領が竹島上陸を決行する前に、専門家の意見を取り入れたことは、ニュース等で伝えられたこれまた周知のことでした。
 先日の、日韓の外相会談で「歴史問題は細心に取り扱われないと、民族の魂を傷つける。」と韓国の外相はおっしゃられていましたが、私には何となくわかります。私自身、この日本国で私自身の魂を傷つけられたことが数えきれないほどありました。誰が悪いというのではなく、この国の人間にはそういうことを平気でやってしまう風土があるということなのです。しかし、それをいちいち糾弾(きゅうだん)していたのではきりがありません。この問題の根本的解決には、相手の隠している痛みを知ることが必須だと言えます。
 おそらく私はへそ曲がりなのだと思いますが「基本的価値観を共有する重要な」隣人同士だと相手から言われたら、「こんな隣人と価値観が同じだなんて、キモチ悪い。やめてくれ。」と本心では思ってしまうことでしょう。でも、それは口に出さずに、その辺のキモチを暗黙で察してくれないかなあ、と内心は相手に期待してしまうと思います。相手の発言や態度に修正は求めません。ただ、こちらの本心をちょっとだけでも見抜いてくれれば、相手に何も見返りを期待しないと思います。
 韓国や中国の人たちが心配していることも、それはそれで理解できます。歴史ではなく、過去のトラウマから逃れられないのは、日本の場合と同じなのかもしれません。国家というものは、表向きはどれほど異なっていても、その領土の大小にかかわりなく、どこでも同じような悩みをかかえているのかもしれません。例えば、韓国が反日派の人たちが主体になって独立した国でなかったならば、慰安婦問題もおそらく起こらなかったでしょうし、日本への反発が国家の独立につながるなどと考えることもなかったことでしょう。このように東アジアの国々には、実はいろいろと問題があるのです。従って、現代の日本国民が、一個人の信仰・信条に全面的に支配されて国家の代表を選んでいるのではないということを、韓国や中国の人たちにもわかってもらい、大人の付き合いをしてもらえたらいいなと私は思っています。