C君から聞いた不思議な体験話

 この記事は、『ほとんどの男性がしらないこと…』の続編です。C君からの話には、まだ続きがあります。それがどういうものかを明らかにして、その話の中から私が見つけたある考えを披露します。
 その前に一言ことわっておきたいことがあります。『ほとんどの男性がしらないこと…』の記事で私が主張したかったことの補足をします。私は何も、「男性は女性に触れてはいけない。」という禁欲的なことを言いたかったのではありません。そうではなくて、人間としての最低限のエチケットを守るべきだと言いたいのです。TPOを守るべきだと言いたいのです。それにしては、『性行為』だとか『性犯罪』だとか穏やかでない言葉を並べ立てたではないかと批判されるかもしれません。確かにその通りではあります。が、そうでもはっきり言わないと、いけないことを自覚できない方々が少なくありません。私としても、やむおえずこの際はっきり言うしかないと判断したのです。
 さて、C君は一軒目のお店に行って、怖い経験をしました。女性がいかに怖いかが実体験でわかり、それ以前に、出会った女性をC君自身が怖がらせていたことにも気がつくようになりました。C君は、二軒目のお店に行き、何回かそこに通った後、私に以下のような話をしてくれました。
 最初行った時は、何がなんだかわからなかったそうです。かなりのベテランの人に当たったため、わけがわからないうちに終わってしまったそうです。でも、次からは、違う人がいいと思ったそうです。彼は、これは男としての勉強であり、遊びなんかじゃないと思ったそうです。特定の人を指名しないで、毎回無指名で初対面の人とやったそうです。私の想像では、C君の相手になった人は、いくら仕事とはいえ大変だったのではないかと思います。相手が初対面だと、その男性に何をしたら一番効果的かわかりません。もっとも、多くの男性を世話していくわけですから、指名の男性で無い限り、いちいち事細かく覚えていくわけにはいかなかったでしょう。
 都合のいいことに、C君は過去に彼女と呼べる女性がいなかったので(私もそうですけど)、自ら相手に向っていくよりも、なにをしてもらうかは相手にまかせることを選んだそうです。つまり、彼は生身の相手をどう扱ったら、気持ちがよくなるかを知りませんでした。よって、相手に気持ちよくしてもらっていたのです。相手はその道のプロですから、料金さえ払ってもらっていれば、おおかた快く(実際は、好みの男性で無い場合は、露骨に態度に表す人もいるそうですけど)その要求を引き受けてくれるそうです。
 そうしてC君は何人かを経験したのですが、C君の内面では変化が起こりました。C君は思ったそうです。背が高かったり低かったり、太っていたり痩せていたりしても、女性の体はみな同じに感じられたそうです。つまり、男性はそうした特長に関係なく、女性とできるようになっているらしいのです。ところが、女性の心は一人一人違く感じられたそうです。話をしても、みな違うし、彼に対する態度にも個人差が感じられたそうです。当然彼を粗雑に扱う人もいれば、長話しを始めたり煙草を吸い始めたりしてなかなかエッチを始めない人もいたそうですが、お人よしの彼はそういう人たちに文句を言えなかったそうです。私は、(あまり人のことは言えませんが、)C君は気が弱いなと、それを聞いて思いました。でも、彼は、今までの恋とか恋愛とかの関係とは違う、男女の関係を知ったのだ。と、私は気づきました。
 ところで、私はC君から一つの疑問をぶつけられました。目的としたことが終わって、ぐったりした彼はあおむけに寝ているように言われたそうです。その時、彼はいつもこんなことを相手から聞かれるそうです。「煙草を吸ってもいい?」「お客さんによっては、煙草を吸われると嫌がる人がいるので。」というようなことだそうです。彼は、私と同じで、煙草を吸いませんが、でも、私と同じで、人が近くで煙草を吸っても不快には思わないタイプでした。しかしながら、こうした職業の人たちは、なぜこのタイミングで揃いも揃って煙草を吸うのだろうか、というのが彼の疑問でした。
 それに対して、私は彼にこう答えました。C君、きみが、サービスを受けている間、相手は相当な重労働と精神的ストレスによって心身共に疲れてしまっているんだよ。それが終わって一息つきたいので、煙草を吸わせて欲しいと、きみに言ってきたのだと思う。と、私は彼に答えました。彼は、なるほどと思って、それからは、こうした職業の人に世話してもらった直後から、そんなに彼に尽くしてくれたことを(といっても1回40分くらいだったそうですが、)感謝するようになったそうです。
 C君は、もう一つ変わったことに気がついたそうです。後で気がついたら、私の言うとおりだというのです。以前、彼が終わってぐったりしていると、相手の態度が疲れているのか、冷めた感じに見えたそうです。私はこのことから推測して、ある仮説を立てて、C君に話して聞かせました。もちろん仮説ですから、実証はされていません。こうした職業の人たちに直接聞いたわけではありませんから、確かなことはわかりません。でも、当たらずとも遠からずです。
 その仮説は、こうです。こうした職業の人たちは、男の性欲をよく研究しています。経験的に知っているといった方が当たっています。生物学的に見て、男性は女性に子種を渡すまでが一仕事です。よって、その仕事が終わるや否や、性欲が満たされて女性への関心がなくなります。女性に子種を渡すまでは、どんなブスの女性でも美人に見えてしまい、ひとたび子種を渡すと、どんな美人でもブタに見えてしまうのです。それが男性の役割であり、本能的なものであり、個人差はあっても、ほぼ男の性欲はみな同じようです。
 ですから、男性が終わって、疲れ果てて、態度が冷たくなるのは、実は男の側です。そして、必ずエッチをした相手の女性を蔑みます。(彼自身もエッチをしたのにそれを棚に上げて、相手の女性を卑しく思うのです。)こうした職業の人たちは、それを実際の経験を踏まえながら、常識の一つとして知っているのだと思います。男性の果てる姿を見て、またかぁ、と思っているかもしれません。客の男性の側の態度が急に冷たくなれば、それを察して相手をした女性の側も冷たくなるものです。この職業の人たちは、それをイヤと言うほど繰り返しています。
 C君は、相手が煙草を吸ってリラックスしたいと言えば、どうぞと快くすすめ、相手がリラックスして喋りだすと、感謝の気持ちで親身に話を聞いてあげたそうです。また、性欲が満たされて消えたことによって、今までの裸の相手が女性ではなく、自分と同じ人間に見えて、例えば、異性ではなくて同性の、会社の同僚仲間と話しのやり取りするのと同じくらいの距離感になったそうです。すると、相手の態度にも変化が生まれたそうです。普通の男性は、エッチをするのに精力を使い果たしてしまい、その後は疲れ果てて、女性の話をきくどころではなくなります。ところが、C君は、こうした職業のプロに助けられて、疲労の具合が軽かったため、女性の話を聞くだけの余裕がありました。C君の話によると、話しをしている途中で、相手の女性の顔つきに変化があって、ちょっと驚いたように見えたそうです。C君に今まで向けられていた、冷たい感じが相手の態度から消えたそうです。そして、相手の女性は誰でも、ばつが悪そうな、申し訳なさそうな感じで、C君をお店の外へ送り出すまで、暖かく彼の腕をとってエスコートしてくれたそうです。
 以上のC君の話を聞いて、私は、考えました。男女間で友情が成立するかどうかまではわからないけど、それに近い男女の関係ができるのではないかと、考えました。セックスレスの夫婦が破局に向うのではなく、仲の良い友達になっていくと、考えられるのです。男性が、どのようにして男の性欲をコントロール(抑制ではなく制御)していくかが課題です。それさえ解決できれば、C君のようになれるのではないかと思います。