人類の科学未来図に期待する

 もうずっと前から書きたいと思っていたことを、今回私は書きたいと思います。たとえ、将来の世界経済が停滞したとしても、自然科学およびそれに支えられた科学技術が世界のどこかで発展していくことは確実と言えます。昨今の『コロナ禍』で、自然科学の研究がストップするどころか、ますます発展の一途をたどっているように思われます。たとえ日本国がその進展にストップをかけたとしても、世界のどこかでその研究は多様に続けられていくことでしょう。いずれ私たちの日本国は、自然科学の分野でも、取り戻すことのできない『遅れ』を思い知ることになると思います。
 今年のノーベル化学賞を獲得したのは『ゲノム編集』でした。実を言いますと、私はゲノム編集や遺伝子組み換えといったことには興味がありません。なぜならば、金持ちではないからです。正直言って、お金が無いので、何もできません。それなのに、何でそんなに、これからの自然科学に期待しているのかと申しますと、『新型コロナウィルス』の感染拡大をきっかけに、「ひょっとしたら近い将来に誰かに解明されてしまうかもしれない、いくつかの謎や秘密がある。」ということを知ってしまったからなのです。たとえ世の中でいかなる不幸や災いが起ころうとも、もしもそれらが解明されることになれば、現在および将来を生きていく人類全体の意識が微妙なところで変わっていく(大袈裟かもしれませんが)その可能性があります。そのことは、ノーベル賞受賞の云々(うんぬん)よりも、ずっとスケールの大きなことだと、私は個人的には思っております。
 先日私は、Eテレの『サイエンスZERO』という番組で、「宇宙夜話スペシャル 小学生と迫る”生命誕生”のナゾ」という回を30分間視聴しました。私は、この番組で、とある事柄を確認したいがために、あらかじめ録画予約をしてまで、その番組を視聴することを期待していました。今から数十年前に、私は、テレビや新聞で、こんなニュースを知りました。宇宙空間に、生体物質の一つであるアミノ酸が発見されたというニュースです。つきつめて考えてみれば。私たち人類を含む生物は、一つ残らずこの物質から作られており、あの『新型コロナウィルス』でさえ、分解すればアミノ酸になってしまいます。この宇宙空間でのアミノ酸の生成は、現在では、このように解釈されています。「宇宙空間では、極度に微細な塵(ちり)に、元素の粒が付着して、アミノ酸が合成しやすい環境になっている。」(『サイエンスZERO』で紹介されていた説による。)そのアミノ酸が、隕石となる無機質に付着したり含まれたりして、地球に落ちて蓄積して、それが地球に生命体が誕生するための材料になったようなのです。
 しかし、ここで最大の謎に私たちは直面します。無生物だらけの環境から、どうやって生物が現れたのかという問題です。そこで、あの『新型コロナウィルス』で世間を騒がしている『ウィルス』というもの全般の存在が注目されます。先日私が本屋さんで買った高校生物の学習参考書によると、「ウィルスは、単独では代謝など生命活動を行わないので生物ではありません。ところが、生物体に感染すると自己増殖が行えます。自己増殖が行えるということは、生物の最も重要な特徴です。つまり、ウィルスは生物と無生物の中間的な存在なのです。」とありました。
 確かに、『ウィルス』は単独では生命的な特徴を持っておらず、他の生物や生命体に寄生もしくは感染しないと増殖などの生命活動ができません。他の生物や生命体が存在しないと、生きていけない(すなわち活性化しない)ことから、他の生物や生命体が現れる以前には存在しなかったという説もあります。
 しかし、現在確かに言えることで、最も重要なことは、世界の分子生物学者さんたちが言われているように「ウィルスが生物と無生物の中間的な存在である。」ということだと言えます。ウィルス全般が、生物や生命体のルーツであるとは言いがたいとしても、私たち人類を含む生物のルーツであるところの原始生命体が、ウィルス的な特徴をいくつか持っていた、という推測はできるかもしれません。そして、それは、現存するウィルスと同じように、生物と無生物の中間を埋めるものだったのかもしれません。
 そのようなことに、何らかの実証が多数加わることによって、地球内での生物誕生の謎や秘密、あるいは、生命体そのものの誕生の謎や秘密、そして強(し)いては、人類誕生の謎や秘密(「ヒトのゲノムの4割は、ウィルスのゲノムと同じ。」との山内一也さんの言があります。)などが次々と解明されていく可能性がある、と私は考えています。
 それらの謎や秘密の多くが解明された時に、私自身はこの世をすでにオサラバしているかもしれません。でも、ちっぽけな私自身の命などこの際どうでもいいなと思っております。ただ言えることは、それらの謎や秘密が、たとえ全て解明されたとしても、その科学技術への応用が必ずしも追いついてはいかないということです。いわゆる『不老不死』というものが科学的に実用化するためには、さらなる長い時間のかかる研究が必要となることでしょう。政治上や国家上の事情から、その研究を目指す某国が近年のうちに出てくるかもしれませんが、最初の実験台に乗せられる人間はモルモットの運命をたどることでしょう。人権上の理由から、私はお勧めできませんが…。一方、先の『サイエンスZERO』で、なぜ小学生たちと共に『地球の生命誕生のナゾ』について番組が進められていたのかが、ここまで読んでいただいた皆さんにはわかったと思います。かれら小学生たちが大人になって生きている間には、十分にそのナゾの一部が解明されるチャンスが訪れているはずです。それを、今の私は期待しています。